菊判(21.8×15.2cm)・小B6判(17.2×12cm)
(イギリス)
ヒュー・ロフティング 作・さし絵
井伏 鱒二(ますじ) 訳
岩波書店
菊判 ¥1,680(¥1,600+税5%)
小B6判 岩波少年文庫 ¥714(¥680+税5%)
「ドリトル先生物語全集」の第一作
「ドリトル先生物語」の1冊目。1920年(大正9年)、発表です。
『ドリトル先生アフリカゆき』のあらすじ(冒頭部分のみ)
「沼のほとりのパドルビー」という小さな町に住んでいるお医者さんのドリトル先生は動物好きで、たくさんの動物を飼っていました。
しかし、その動物たちが増えすぎて、人間の患者には評判が悪く、診察してもらう人が減り、ドリトル先生はだんだん貧乏になって行きました。
そして、たった一人残った人間の患者「ネコ肉屋」(ペットフード配布業者)から、獣医になるようにと助言を受けます。
また、飼っていたオウムのポリネシアから、動物にも言葉があって、動物同士で話をすると聞いたドリトル先生は、動物語を勉強してマスターし、人間の医者から獣医へと転身します。
獣医として仕事を始めたドリトル先生は、またお金持ちになります。
しかし、サーカスを逃げ出したワニがドリトル家に住み着いたことから、ドリトル先生の妹サラは結婚して家を出てしまい、ペットを診てもらいに連れてくる人もいなくなってしまいます。
ドリトル先生はまた貧乏になってしまい、先生が飼っている動物たちが相談して家事を分担。なんとか暮らしていたところへ、アフリカのサルたちから往診して欲しいという知らせが届きます。
レギュラー陣の多くが登場する1冊目
ドリトル先生のデビュー作です。2作目『ドリトル先生航海記』などの語り手であるトミー・スタビンズを除いた、ほとんどのレギュラーの人物と動物たちが登場します。どんな動物たちがレギュラーなのかは、読んでからのお楽しみです。
もちろん「馬」も登場
作者ヒュー・ロフティングが「ドリトル先生物語」を創作するきっかけとなったのは、第一次世界大戦で使われていた馬の処遇に心を痛めたことです。(詳しくはこのサイトの『「ドリトル先生物語全集」と作者について』のページをお読みください。)
ですから当然、この1冊目に「馬」も登場します。
ヴィクトリア朝のムード漂う、動物好きが楽しめる物語
この物語の時代背景は、イギリスのヴィクトリア朝です。作者ヒュー・ロフティングの手になるさし絵の、ドリトル先生のシルクハットがヴィクトリア朝を思わせてくれます。
このさし絵は、1冊目のこの巻では少々線が固い印象がありますが、温かな味わいがあります。
また、ドリトル家の庭の描写は『ドリトル先生航海記』などの方が詳しいのですが、この1冊目にもすでに冒頭から庭の記述があり、イギリス人の有名なガーデニング熱の歴史の古さを感じます。
この1冊目のストーリーは、ほとんどの動物好きの人が楽しめる「ドリトル先生物語」の原型です。
この巻はストーリーがどんどん展開して、「ドリトル先生のアフリカでの冒険」という趣きが強く、読者を飽きさせません。特に動物好きの子どもにはおもしろくて、夢中になることでしょう。
後年、この巻であっさりと扱われていたサーカスの記述が発展して、3冊の長編になります。
井伏鱒二の名訳
『「ドリトル先生物語全集」と作者について』のページでも述べた通り、このシリーズの訳者は、国民的作家の井伏鱒二です。
原題の“DOLITTLE”は、そのまま日本語に置き換えると「ドゥーリットル」とでもなるところを、日本人に言い易いように「ドリトル」としたことを始め、今では少々時代を感じさせる語り口も読み易く、「名訳」と思います。
愛読者の印象に残る井伏訳の『アブラミのお菓子』や『オランダボウフウ』や、架空の動物の名(これはぜひ、本で確かめてください)などについては、『ドリトル先生の英国』(文春新書 南條竹則 著)に詳しい説明が述べられています。
同書によれば、この架空の動物の英語名は“PUSHMI−PULLYU”。つまり、作者ロフティングは、“PUSH ME−PULL YOU”という意味から命名したようです。
この風変わりな名前の井伏訳も、やっぱり風変わり。一度読んだら、必ず印象に残ることでしょう。
黒人王子バンポが登場する章については、説明を
一部に批判のある、黒人王子バンポが登場する章などについては、この本の後書きに説明があります。
『「ドリトル先生物語全集」と作者について』のページでも、館長の考えを述べましたが、やはり、この点については、ヴィクトリア朝の負の価値観が少し紛れ込んでしまったと思います。
多くの子どもたちの心を捉えてきた名作です。読まずに批判せずに、お読みになった上で、判断していただきたいと思います。
そして、子どもに読ませる場合には、この本の後書きなどをお読みになり、保護者から一言説明してあげて欲しいと思います。
また、中学生以上の方には、前述した『ドリトル先生の英国』が判断の一助になると思います。
『ドリトル先生アフリカゆき』関連のオンライン書店のページ
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『ドリトル先生不思議な旅』は、『ドリトル先生アフリカゆき』『ドリトル先生航海記』『ドリトル先生のサーカス』『ドリトル先生月へゆく』などのストーリーを交えたもので、1967年(昭和42年)の映画です。
『ドリトル先生アフリカゆき』関連のホームページ
「ドリトル先生物語全集」の出版社
岩波書店児童書編集部
「ドリトル先生物語全集」の番外編 『ガブガブの本』の出版社
国書刊行会
「ドリトル先生物語全集」関連の書籍 『ドリトル先生の英国』の出版社
文芸春秋
この物語の舞台であるイギリスの政府公認日本語公式サイト
UK NOWサイト
(イギリスに関するさまざまな情報を網羅)
このページの情報は、岩波書店の目録、あとがきの「訳者のことば」、文春新書の『ドリトル先生の英国』(南條竹則 著)などによります。