22cm・18cm(携帯版)
(イギリス)
J・K・ローリング 作
ダン・シュレシンジャー 表紙画・イラスト
松岡 佑子 訳
静山社
22cm ¥1,995(本体価格¥1,900+税5%)
18cm(携帯版) ¥1,050(本体価格¥1,000+税5%)
「ハリー・ポッター」シリーズ3冊目
シリーズの3冊目。本国イギリスでの初版発行は、1999年(平成11年)。日本での初版発行は、2001年(平成13年)です。
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のあらすじ(冒頭部分のみ)
魔法使いの男の子、ハリー・ポッターは真夜中近くに、ベッドに腹這いになって頭から毛布をかぶり、こっそり夏休みの宿題にとり組んでいました。
プリベッド通り4番地のダーズリー一家はハリーの唯一の親戚で、双方とも仕方なく一緒に暮らしてはいます。しかし、ダーズリー一家はハリーの「魔法」の一切を認めないので、ホグワーツ魔法魔術学校に在学中のハリーは夏休みの宿題さえも、苦労して隠れてしなければなりません。
ダーズリー一家に自分を理解してもらえないハリーは、その苦労に加えて、さびしい思いも味わっていました。
親友のロン・ウィーズリーが夏休みの一週間目に電話をして来ましたが、たまたまバーノンおじさんが出てしまい、取り次いでもらえませんでした。
マグル(非魔法族。普通の人間のこと。)の電話を使ったことのないロンが大声で叫ぶように話したことも、魔法を毛嫌いしているバーノンおじさんの神経を余計、逆なでしたようです。
夏休みが始まって5週間目に、ハリーは13回目の誕生日を、さびしくひとりで迎えました。しかし、今回は思いがけないことが起きました。夜中に三羽のふくろうが、誕生祝いのカードとプレゼントを運んで来てくれたのです。
物語が大きく展開、過去の謎が明かされる巻
シリーズが3冊目に入り、魔法界にも慣れて来たハリーを待っていたかのように、物語が大きく展開します。新しい登場人物や新しい魔法界のアイテムの登場はもちろんですが、前2作で張り巡らされていた複線がこの巻で焦点を合わせ始めます。
この巻のハリーの試練は精神的にもとても大きく、親友のロンとハーマイオニーの力強い支えも見どころのひとつです。三人は大きな危難に力を合わせて立ち向かいます。
ハリーの両親に関する謎の大部分が解け始めますが、新しい登場人物も含めた展開は前2作よりもかなり劇的で、推理小説的な部分もあります。
印象的な呪文はラテン語だった
このシリーズでは1冊目から、印象的な「呪文」が使われています。その中でも、特に読者の記憶に残るのではないかと思われる呪文が、この巻で登場します。映画でも、クライマックスで効果的に使われています。
このシリーズの呪文の多くは、『ハリー・ポッターの魔法の世界』(角川書店)によれば、ラテン語なのだそうです。
ラテン語というのは日本ではあまり馴染みがなく、一般の人は辞書を引いたときなどに、学名としてお目にかかるぐらいの存在ですが、約二千年前ぐらいから、ヨーロッパの共通言語になっていたということです。
調べてみたところ、もともとはイタリアのラティウムという地域の言語ですが、ローマ帝国の公用語になったため、ヨーロッパ中で広く使われるようになったそうです。
ローマ帝国の滅亡後も「文語」として、また、近代でも知識人の公用語として使われていて、19世紀までヨーロッパの大学の学位論文はラテン語で書くことになっていました。第二次大戦後は、日本での「古典」のような取り扱いになっているようです。
「ハリー・ポッター」シリーズで使われている呪文の多くは、作者が適当に作り出したものではなく、このような歴史を持つラテン語なのです。
ちょっとだけ紹介すると、「ルーモス」は「光」、「ノックス」は「闇」、「ルパーロ」は「修理する」、「ウィンガーディアム・レヴィオーサ」は「なにかを飛ばす」という意味なのだそうです。このシリーズのファンなら、この呪文が使われているシーンが思い浮かぶことでしょう。
「うつ病」や「偏見」を具象化してストーリーに組み込む
また、この巻では作者の「うつ病」の体験に基づいて創作した「もの」や、人々の持つ「偏見」を具象化した人物が登場します。特に「うつ病」については、作者自身が苦しんだということで、その苦しみをファンタジーの形を借りて理解しやすく描いています。
ファンタジーに限らず、すべての物語は現実の写し絵という側面がありますが、この巻に登場する「もの」として描く形にすると、より深く印象付けられると思います。
この「うつ病」を具象化した「もの」が、迫力ある描写でストーリー展開に深く係わってきます。
シリアスな中にもユーモアが
登場人物たちの思惑が絡まりあって大きく展開するこの巻は、かなりシリアスな部分がありますが、ユーモアやクィディッチの試合などの楽しみも、作者は忘れていません。
楽しそうな魔法の村もこの巻で登場します。重要な意味のある村ですが、楽しい描写があります。
冒頭に登場するお笑い担当(?)の「スタンリー」と、相棒の「アーニー」は、『ハリー・ポッター裏話』(静山社)によればどちらも作者の祖父の名前なんだそうです。
迫力あるクィディッチの試合やハグリッドへのプレゼントも
作者が創作したものの中でも特筆ものの魔法界のサッカー「クィディッチ」もまた、この巻でひとつの大きなクライマックスを迎えます。ハリーの属するグリフィンドール寮のクィディッチチームのキャプテン、ウッドのキャラクターも楽しく、そして手に汗握る試合の展開にドキドキしながら読み進む読者もいることでしょう。
そして、ハリーの守護者でもある愛すべき森番のハグリッドに、ダンブルドア校長先生からの(つまり作者からの)プレゼントもあります。
いろいろな意味で盛りだくさんの、謎が解ける巻です。前2作を読んだ読者なら、必ず読んで欲しい巻です。
映画は監督が変わって雰囲気も一新
なお、この『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の映画は、前2作(クリス・コロンバス監督)の映画と監督が違います。
前2作が小学生から楽しめるアットホームな映画とすると、この3作目の映画(アルフォンソ・キュアロン監督)は「え、これがハリー・ポッター?」と思うぐらい、雰囲気が違います。この映画の冒頭部分を見て、「オカルト映画みたい」と思った人もいるはずです。
主役のハリーを含めた主要な出演者たちが、ほとんど前2作と同じ俳優だということもあり、見ているうちに馴染んでは行きますが、前2作が気に入っている人であれば、違和感があるかも知れません。
原作を読んだ人には、ハリーを含む登場人物たちの性格描写も「原作とイメージが違う」という思いも強いかもしれません。監督の好みが強く反映されている映画です。
前2作とは雰囲気が違うということと、「原作と映画は別物」ということを、頭に入れてからご覧になることをお勧めします。
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のオンライン書店のページ
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英語版
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「ハリー・ポッター」シリーズ関連のホームページ
「ハリー・ポッター」シリーズの出版社
静山社
「ハリー・ポッター」に関する情報サイト
ポッターマニア
(特に映画の情報は詳細かつ膨大な量)
この物語の舞台であるイギリスの政府公認日本語公式サイト
UK NOWサイト
(イギリスに関するさまざまな情報を網羅)
このページの情報は、静山社のホームページ、「ハリー・ポッター」シリーズのあとがき、『ハリー・ポッター裏話』(静山社)、『ハリー・ポッターの魔法世界ガイド』(早川書房)などによります。