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ファンタジーのフロアファンタジー1             管理人の年令指定小学5,6年から

「ハリー・ポッター」シリーズ
   『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(上)』 22cmの版の画像 この画像はリンクしていません

22cm
(イギリス)
J・K・ローリング 作
ダン・シュレシンジャー 表紙画・イラスト
松岡 佑子 訳
静山社
22cm(上下巻2冊セット) ¥4,200
(本体価格¥4,000+税5%)


ハリー・ポッター」シリーズ5冊目

シリーズの5冊目。本国イギリスでの初版発行は、2003年(平成15年)。日本での初版発行は、2004年(平成16年)です。


『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』のあらすじ(冒頭部分のみ)

プリベット通り4番地。ハリー・ポッターはこの夏一番の暑い日の暮れ方に、庭の花壇に寝ころんでいました。バーノンおじさんとペチュニアおばさんに干渉されずに、テレビのニュースを聞こうとしています。

夏休み前に起きた大事件で、魔法界の「脅威」が実体化して復活したからには、人間界でも報道されるような事件が起こるのではないかと考え、情報が欲しかったのです。

幸い、この日はそれらしい事件は起こりませんでした。しかし、突然「バシッ」という大きな音がして、ダーズリー家の居間から悲鳴が上がり、飛び起きたハリーの頭は開いた窓にぶつかります。

隠れてニュースを聞いていたことがばれて、ハリーは「魔法界からのメッセンジャーであるふくろうたちが、ニュースを運んで来てくれないことを、おじさんたちについ、洩らしてしまいます。

「日刊予言者新聞」を購読してはいても、この新聞は復活した「脅威」には全く触れていないし、親友のハーマイオニーからの手紙も、途中で奪われることを恐れて、奥歯に物が挟まったような文章しか書いてありません。

ハリーはイライラしていました。友の悲劇を目撃し、自分の命も危険にさらされた大事件が、ハリーの心に大きな影響を与えていました。

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さまざまな意味で大きな苦境に立つ15歳のハリー

前巻のラストで、守護者とも言えるハグリットから心を支える言葉をもらったハリーでしたが、この巻ではそれまでとは比べものにならないくらいの苦境に立つことになります。

「あらすじ(冒頭部分のみ)」で述べたように、「自分だけなにも知らされていない」という孤独感を味わい、思春期特有の反抗心も顕著になり、復活した「脅威」の暗躍、多くの人たちの無理解など、ハリーのいらいらの原因は枚挙に暇がありません。

そしてハリーの心の中や、「脅威」の暗躍のほかにも、外の世界に大きな問題が生じます。ハリーのホームグランドであるホグワーツ魔法魔術学校に大きな変質がもたらされてしまうのです。

この暗雲は、この巻全体のトーンをかなり暗くしています。ハリーは前巻までは、規則を無視するきらいがあるぐらいの少年でしたが、この巻の言動は先に述べたように「いらいら」が際立ち、攻撃的なところが多いこともあって、人によっては、ハリーに共感できなくなるかも知れません。

学校を覆う暗雲に対する「レジスタンス」が見どころ

事実、この巻に対する感想をネットで拾ってみると、「暗い」「おもしろくない」「読まなくてもいい」など否定的な感想が結構あって、館長も読む前は「この巻はあまりおもしろくないかも」と思っていました。

しかし、実際に読んでみると、確かにハリーの精神状態は「とんがっている」と思えましたが、「おもしろくない」という感想は出ません。

それどころか、ストーリーテラーとしての作者ローリング女史の「読ませる才能」を強く感じました。「次はどうなる?」と興味を惹かれ、どんどんページをめくらずにはいられませんでした。

この巻のホグワーツ魔法魔術学校を覆う暗雲は、館長には第二次大戦の頃のドイツを連想させました。「これはもうファシズムの世界ではないか」と、感じました。

そのため、一応、民主主義の教育を受けた読者には「暗い」「おもしろくない」という感想が出るのではないでしょうか。

館長には、「事実に目をふさいでいると、悪意のある存在が現れたときに、このような世界が登場する」、「権力を悪用した教育の恐ろしさ」などについての警告とさえ、思えます。

このような、これまでで最も辛い生活の中で、ハリーやハリーの友人たちが、どうやってこの困難に立ち向かってゆくのか、その「レジスタンス」がこの巻の見どころだと思います。そして、その「レジスタンス」がクライマックスにつながって行きます。

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ハリーの言動が示すものは

この巻でのハリーの言動は、この年令であればさして珍しくもなく、今までの積もり積もった不満を表現しているという印象を受けます。まるで「堪忍袋の緒が切れた」とでもいうような。むしろ、ダーズリー家で冷遇されて育ったことを考えれば、前巻までが良い子すぎたとも言えます。

1作目の『ハリー・ポッターと賢者の石』がベストセラーになった頃、ある雑誌で「愛情を受けずに育ったハリーがあんなに良い子なのは納得できない」という意見を読んだことがあります。

確かに、人間が育つには周囲からの愛情が必要ですから、その意見にも一理あるように思えます。

日本での新聞などのいろいろな書評には、「環境よりも血統の重視」の物語、という文もありました。

親戚に冷遇されて育ったことがない者にとっては、「環境」と「血筋」の影響の兼ね合いはどのようなものなのだろうかと、想像するしかありません。

しかし、このサイトの「文学以外の児童書」で紹介している『アフガニスタンの少女、日本に生きる』の著者も、母の記憶がほとんどなく、父とも遠く離れて、幼い頃から親戚にかなり冷遇されて戦乱の中で育ちました。

もちろん著者に直接の面識はありませんが、本の文章から伝わる著者の人柄や生き方は、共感と賞賛に値するものと思います。

それまでも「環境半分、性格半分ではないか」という考えはあったのですが、この本を読んでからはなお「育つ環境」も大事だけれど、持って生れた本人の資質も無視できないのではないだろうか、と思えます。

「ハリー・ポッター」シリーズはフィクション、ファンタジーですが、『ハリー・ポッターと賢者の石』でのハリーのように、「良い子」に育つことは不可能ではないと、館長は思っています。その「良い子」のハリーは、前巻までは本音のマイナスの感情をしまいこみ続けていたように思えます。

身近な者に対する「反抗」や「八つ当たり」は、愛情を求めることの裏返しの「甘え」の表現でもあります。

この巻では、ずっと「甘える」相手のいなかった15才のハリーが、思春期特有の反抗心も手伝って攻撃的な表現をしているけれど、大きな苦難と戦いながら、人間らしい成長過程にあることが描かれているのだと思います。

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グリフィンドールは伊達じゃない、ネビルとウィーズリー兄弟

そしてまた、ネビル・ロングボトムと、フレッドとジョージの双子の兄弟に注目してほしいと思います。

一見、気弱で冴えないように思えるネビルは、これまでも時々光るものを見せていましたが、この巻でははっきりと「勇気」を象徴とするグリフィンドール寮に入った理由を、読者に知らしめてくれます。手に汗握る大活躍です。

そしてユニークな個性で、物語に広がりを持たせてくれている、フレッドとジョージの双子コンビ。この「権威」をものともしない兄弟が、自ら決めた「卒業」は、爽快そのものです。暗雲立ち込める学校生活の中で、胸のすく思いをさせてくれるシーンです。

魔法界の中枢機関にも注目を

前巻までは、話に聞くだけだった魔法界の中枢機関が、重要な舞台として登場します。上巻でまず登場しますので、この辺りは注意深く読んでほしいところです。

2006年(平成18年)10月現在、この『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の映画は製作中ですが、「ハリー・ポッター」シリーズの映画情報に詳しいサイトポッターマニアによれば、つい先日、この機関の登場するシーンを撮影したそうです。

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深い含蓄のあるダンブルドア校長先生の言葉

それから、ラスト近くに大きな悲しみを経験するハリーに告げるダンブルドア校長先生の言葉には、深い含蓄を感じます。幼くして、過酷な宿命を背負ってしまったハリーに対する大きな愛情と、人生に対する哲学を端的に表現していると思います。

まだ若く、悲しみの渦中にあるときは、その言葉に対して反発するしかできない場合もあるということもわかりますが、「悲しみ」や「痛み」を感じることのできない人間がどうなってしまうか、と想像することができる人であれば、このダンブルドア校長の言葉に頷けるでしょう。

そして、権威や良識、才能など多くのものを持ち合わせている人でも、人間である限り、完璧ということはないと、改めて感じます。

他の巻とは違う暗いトーンの故に、さまざまなことを考えさせてくれるストーリー展開となっている巻です。

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『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』のオンライン書店のページ

22cm (ハードカバーで堅牢な作り)

 ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 ハリー・ポッターシリーズ第五巻 上下巻2冊セット(5)(アマゾン)

 ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 上下巻 icon(セブンアンドワイ)


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「ハリー・ポッター」シリーズ関連のホームページ

「ハリー・ポッター」シリーズの出版社
      静山社

「ハリー・ポッター」に関する情報サイト
      ポッターマニア
    (特に映画の情報は詳細かつ膨大な量)

この物語の舞台であるイギリスの政府公認日本語公式サイト
      UK NOWサイト
  (イギリスに関するさまざまな情報を網羅)


このページの情報は、静山社のホームページ、「ハリー・ポッター」シリーズのあとがき、『ハリー・ポッター裏話』(静山社)、『ハリー・ポッターの魔法世界ガイド』(早川書房)などによります。


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