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ファンタジーのフロアファンタジー1      出版社の年令指定小学4,5年から 管理人の年令指定小学4年から

   「ナルニア国ものがたり」シリーズと作者について

『ライオンと魔女』のページへ

A5判変型・四六判変型・小B6判
(イギリス)
C・S・ルイス 作
ポーリン・ベインズ さし絵
瀬田 貞二 訳
岩波書店
(価格は判により、また巻により異なります)   


「ナルニア国ものがたり」シリーズは世界の三大ファンタジー作品のひとつ

このシリーズは、「タイムトラベルもの」「異世界もの」「動物擬人化もの」などの、さまざまな要素を含むファンタジーです。2006年3月には、ディズニーの実写による映画の公開が予定されています。

シリーズ全体のバックボーンには、キリスト教の世界観があります。

しかし、このバックボーンは「聖書」のみにとどまることなく、いろいろな神話や伝説、世界史上の出来事など、さまざまなものが含まれ、そして消化され、作者の想像力により、胸躍る冒険ファンタジーの形になり、出版されました。

J・R・R・トールキンの『指輪物語』、ル・グウィンの『ゲド戦記』と共に20世紀の傑作ファンタジーとして、とても有名な作品です。この三作品を、世界の三大ファンタジーとするくくり方もあります。

10才前後から読めて、全7巻が一冊ずつ独立して読める作り

J・R・R・トールキンの『指輪物語』の対象年令が12、3才頃からと思われ、また数冊の巻のほとんどが続き物であるのに対して、「ナルニア国ものがたり」シリーズの方は、もう少し低い年令の10才前後から読むことができて、シリーズ全7冊の巻が、1冊ずつ独立して読める作りになっていることが特徴です。

また、7冊全部通して読むと、「ナルニア」という想像上の国の年代記になっていることが、わかります。

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キリスト教の世界観がバックボーン

このシリーズは、キリスト教の世界観がバックボーンになっていますが、作品を読むに当たって、キリスト教の知識が特に必要な訳ではなく、予備知識ゼロの状態で十分楽しめます。

ただ、シリーズ1冊目の『ライオンと魔女』や6冊目『魔術師のおい』、7冊目の『さいごの戦い』などには、キリスト教の世界観が強く反映しているところがあります。

特に、7冊目の『さいごの戦い』は、「キリスト教の世界観がバックボーンになっている」ことを頭に入れておかれると、戸惑いが少なく、理解しやすいように思われます。

しかし特定の宗教を越えた普遍的価値観が語られます

作者がこの作品に込めたキリスト教の世界観について、日本の読者には賛否が分かれるところのようです。

しかし、シリーズ各巻に必ずユニークで印象に残る脇役たちが登場して、時にユーモアを込めて描き出される「忠実」や「信念」、「勇気」など特定の宗教を越えた普遍的価値観が冒険物語の形で語られる、読むに値するおもしろいファンタジーです。

人間の子どもたちは、狂言回し的な役割を与えられています。

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劇的な展開でありながら暮らしの描写が詳しいというおもしろさ

また、このシリーズの文章は平易で読みやすく、情景の描写は細部に至るまでていねいで、読者はその場のインテリアや料理、テーブルクロスまで、容易に想像できるという特徴があります。

異世界を描き、劇的な展開でありながらも、日常生活への親しみも感じられるというおもしろさがあります。

神話の中の登場人物たちとのティータイムなど、空想上の楽しさも、普遍的価値観と共に味わっていただきたいものです。

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作者はオックスフォード大学の英文学教授

作者のC・S・ルイスは、本名「クライブ・ステープルズ・ルイス」で、1898年(明治31年)アイルランドのベルファスト生れ。子どもの頃から読書好き。

オックスフォード大学に入学、第一次世界大戦に従軍。

その後、1925年(大正14年)から同大学のモードリン学寮で英文学教授として勤め、「ナルニア国ものがたり」シリーズ第一作の『ライオンと魔女』は、このオックスフォード大学教授であった1950年(昭和25年)に、出版されました。

その後、「ナルニア国ものがたり」シリーズは1年に1作のペースで発表されました。

「ナルニア国ものがたり」シリーズは、作者唯一の児童文学

シリーズ刊行途中の1954年(昭和29年)にケンブリッジ大学の中世・ルネッサンス英文学の教授となり、中世伝説やミルトンについて、またキリスト教についての著作などを多く出版しています。SF小説も書いています。

「ナルニア国ものがたり」シリーズは、作者唯一の児童文学です。

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『指輪物語』の作者トールキンとは友人同士

『指輪物語』を書いたトールキンとは親しい友人同士で、同僚や友人たちで構成されていた文学的な集いでトールキンが『指輪物語』の序章に当たる『ホビットの冒険』を朗読するのを聞いたり、トールキンが『指輪物語』を執筆していることなどに触発されて、この「ナルニア国ものがたり」シリーズを書いた、という話があります。

『指輪物語』の存在が、「ナルニア国ものがたり」の誕生になんらかの関係があることは、否めないようです。

また、1957年(昭和32年)に58才で、病身のアメリカ人女性ジョイ・グレシャムと結婚していますが、彼女は3年後に亡くなっています。

この辺りの事情は、『永遠の愛に生きて』(ブライアン・シブリー著)という本に述べられ、また映画化(1993年)されて、イギリスのアカデミー賞なども受賞しています。

C・S・ルイスは、1963年(昭和38年)に死去しています。

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物語にぴったりの品のあるさし絵の画家はポーリン・ベインズ

さし絵のポーリン・ベインズは1922年(大正11年)、イギリスのブライトン生まれ。幼少時はインドで過ごし、帰国後、美術学校で学び、さし絵の仕事の1冊めはトールキンの『農夫ジャイルズの冒険』でした。

トールキンの推薦により、「ナルニア国ものがたり」シリーズのさし絵を描くことになりました。

ベインズは、中世絵画とペルシア美術に造詣が深いということです。現在の子どもたちには、少々地味に見えるようですが、想像力をかき立てられ、品のある、このシリーズによく合っている絵です。

『西洋騎士道事典(1968)』で、ケイト・グリーナウェイ賞を受賞しています。

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訳者は、『指輪物語』の訳で有名な瀬田貞二さん

訳者の瀬田貞二さんは、1916年(大正5年)生まれ。児童文学の創作、翻訳、批評家ですが、外国児童文学のファンには、訳者としておなじみの名前です。トールキンの『ホビットの冒険』『指輪物語』の訳者としても知られています。

独特の日本語のセンスと読みやすい訳

瀬田さんの訳は、言葉に独特のセンスがあって読みやすい文章です。瀬田さんは、俳句の素養があったそうです。どんなセンスなのかは、読んでからのお楽しみです。

ただ、このシリーズを瀬田さんが訳されてから、40年ほど経っていますので、現在の読者には、多少時代を感じさせる言葉があるかも知れません。

しかし、子どもに読みやすい訳であることは確かです。館長個人としては、当時の空気を伝えるようで、味わいがあると思っています。

瀬田さんは1979年(昭和54年)に、死去しています。

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日本では岩波書店から出版

「ナルニア国ものがたり」の日本での初版発行は、1966年(昭和41年)です。岩波書店から出版されています。全7冊は、「ナルニア」という国の年代記でありながら、年代順には、出版されませんでした。

作者は年代順に、訳者は出版順に読むよう希望

C・S・ルイス自身は全冊出版後、年代順に読むようにとの希望だったそうですが、「訳者あとがき」の中で瀬田貞二さんは、年代順ではなく出版順に読む方が「おもしろい」と述べています。

館長は出版順に読む方を支持

確かに出版順に読むと、まず最初に謎が提出され、その疑問が増え、そして、それが、6冊目あたりから解けて行く、という推理小説的な楽しみがあります。

出版順に読むこと自体が、タイムトラベル的な楽しみでもあります。

館長も、この「出版順に読む」方を、お勧めします。岩波書店からのこのシリーズの番号も、タイトルに付記する形で、「ナルニア国ものがたり 1」というように振られています。

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3サイズで出版、四六判変型はさし絵がオールカラー

岩波書店からは、A5判変型、四六判変型、小B6判(17.2×12cm)の3つのサイズで出版されています。

A5判変型はハードカバーの堅牢な作りです。

四六判変形は、やはりハードカバーで、A5判変型より一回り小さいサイズで、さし絵がオールカラーです。どうやら、映画化を記念して出版されたようです。

小B6判は、「岩波少年文庫」で、ソフトカバーで他の版に比べて廉価です。携帯に便利なサイズで、17.2×12cm。「文庫」といっても、一般の文庫本ではなく、新書判に近いサイズです。(新書判の平均的サイズは18.2×10.3cmです。)

「ナルニア国ものがたり」シリーズの岩波少年文庫版は、1985年(昭和60年)に第一刷が発行され、版を重ねてきましたが、2000年(平成12年)に、活字が大きくなり、表紙の装丁も一新され、新版第一刷発行となりました。

このサイトで掲載されている表紙画像は、3冊目の『朝びらき丸 東の海へ』のみが新版のもので、それ以外は旧版のものです。

年令指定は、小4から

出版社の年令指定は「小学4、5年から」です。文章にひらがなが多く、むずかしいと思われる漢字にはルビが振ってありますので、「小3」でも読めると思いますが、7冊全体を通して読むにはやはり「小4以上」の方が妥当なところと思います。

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出版順の本のタイトル

以下は、出版順に並べた本のタイトルと価格です。なお、7冊目の『さいごの戦い』は1957年(昭和32年)にカーネギー賞(イギリスで最も権威のある児童文学賞)を受賞しています。

以下のリンクは、このサイト内の本の説明ページへ飛びます。

書名 (原作の初版発行年) A5判変形 四六判変形 小B6判
1 ライオンと魔女 (1950) ¥1,785 ¥1,365 ¥714
2 カスピアン王子のつのぶえ (1951) ¥1,890 ¥1,470 ¥756
3 朝びらき丸 東の海へ (1952) ¥1,785 ¥1,575 ¥798
4 銀のいす (1953) ¥1,785 ¥1,575 ¥798
5 馬と少年 (1954) ¥1,785 ¥1,470 ¥756
6 魔術師のおい (1955) ¥1,890 ¥1,470 ¥756
7 さいごの戦い (1956) ¥1,785 ¥1,470 ¥756

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年代順の本のタイトル

参考までに、年代順に並べたタイトルを以下に記します。

以下のリンクは、このサイト内の本の説明ページへ飛びます。

書名 
6 魔術師のおい
1 ライオンと魔女
5 馬と少年
2 カスピアン王子のつのぶえ
3 朝びらき丸 東の海へ
4 銀のいす
7 さいごの戦い

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7冊セットや絵本、関連本など多数あり

なお、それぞれの版に7冊セットがあります。セット価格は、A5判変形¥12,705(5%税込み)、四六判変形¥10,395(5%税込み)、小B6判 (岩波少年文庫)¥5,334(5%税込み)です。

また、『ライオンと魔女』は、絵本が出版されています。でも、絵はポーリン・ベインズではありません。チューダー・ハンフリーズ・絵、中村妙子・訳の絵本です。

『ライオンと魔女』の絵本には、豪華本もあります。『スペシャル エディション ライオンと魔女』としてポーリン・ベインズの絵でA4判変型、価格¥3,675(本体価格¥3,500+税5%)が出版されています。

また、全部の物語7冊分を、年代順に一冊にまとめた『スペシャル エディション ナルニア国物語』が出版されました。

ポーリン・ベインズのさし絵がオールカラーでA4判変型、価格は¥7,980(本体価格¥7,600+税5%)の豪華本です。

その他、ルイス関連の本・映画もあります。

これらの本などのオンライン書店のページはこちらです。

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「ナルニア国ものがたり」シリーズ関連のホームページ

「ナルニア国ものがたり」シリーズの出版社
      岩波書店児童書編集部

映画「ナルニア国物語 第一章 ライオンと魔女」
   2006年3月公開のディズニー映画の公式サイト

この物語の舞台であるイギリスの政府公認日本語公式サイト
      UK NOWサイト
   (イギリスに関するさまざまな情報を網羅)


このページの情報は、岩波書店の目録・ホームページ、「ナルニア国ものがたり」シリーズのあとがきなどによります。


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