おとなも楽しめる児童図書、中学生から読める一般書を紹介する読書案内サイト こども図書館ドットコム

こども図書館ドットコム>ファンタジー1ファンタジー2>「指輪物語」と作者について

ファンタジーのフロアファンタジー2                  管理人の年令指定中学生以上

   「指輪物語」と作者について

「指輪物語」の第一巻『旅の仲間(上)』旧版(菊判)  『旅の仲間』の説明ページへ

B5判・A5判・文庫判
(イギリス)
J・R・R・トールキン 作
瀬田 貞二 訳
寺島 龍一 絵
評論社
(価格は判により異なります)


上の画像は、「指輪物語」の1冊目『旅の仲間(上)』旧版。1984年(昭和59年)2月10日「初版八刷発行」のものです。


「ファンタジー」というジャンルを確立した作品

このサイトで先に紹介したJ・R・R・トールキンの『ホビットの冒険』の続編に当たるのが、この大作ファンタジー「指輪物語」です。

現在では『ホビットの冒険』の続編というよりも、ピーター・ジャクソン監督の大ヒット映画「ロード・オブ・ザ・リング」の原作として、日本でも知られるようになってきたと思います。

しかしこの物語は、単なる映画の原作ではなく、文学史上に「ファンタジー」というジャンルを確立したとても重要な作品です。

トールキンが「指輪物語」を出版する以前は、「ファンタジー」と言えば、「おとぎ話」や、それに類する児童文学作品を指していました。「指輪物語」のプロローグに当たる『ホビットの冒険』も、どちらかといえばその範疇に入る作品でした。

「指輪物語」の執筆は、『ホビットの冒険』が好評なので、出版社が続編を求めたことによります。しかしトールキンは、明るく楽しい子ども向けの物語だった『ホビットの冒険』とは雰囲気が全く異なるシリアスで壮大な、北欧の神話の色濃い大人の鑑賞に耐えられる長編作品を、12年ほどかけて書き上げました。(出版されたのは、完成して5年ほど経ってからです。)

この「指輪物語」の出版以降、現実の世界ではない架空の世界を舞台にした物語は「ファンタジー(文学)」というジャンルとして市民権を得ました。子どもだけではなく、大人が楽しめる文学作品としての「ファンタジー」の地位が確立したのです。

(「ファンタジー」には、現実の世界とは異なる架空の世界のみが舞台となる「ハイ・ファンタジー」と、現実の世界と架空の世界の両方が舞台となる「ロー・ファンタジー」の2種類のくくり方があります。)

このページのトップへ

ロール・プレイング・ゲームに「指輪物語」の大きな影響が

その後、数多くのファンタジー作品が出版され、文学以外のサブカルチャーにも、「指輪物語」が大きな影響を与えました。たとえば「ドラゴンクエスト」のような「ロール・プレイング・ゲーム(RPG)」は、もともと「指輪物語」の設定を参考にして作られ、それが現在のような多種多様なものに発展しました。

この作品は現在もファンタジー文学の最高峰

また「指輪物語」の発表後、ファンタジー作品はたくさん出版されましたが、その設定の壮大さや緻密さ、構成や独特の世界観などにおいて、「指輪物語」を「越えた」と明言できる作品はまだ登場していないと思われます。「指輪物語」はファンタジー文学の最高峰と言っても、過言ではありません。

J・R・R・トールキンは、「ファンタジー文学の父」「ファンタジー文学の祖」と言える抜きん出た存在です。「トールキンの前にトールキンなし、トールキンの後にトールキンなし」とファンは思っていることでしょう。

「ファンタジー」のジャンルを飛び越えて絶大な人気

そして、世界中で一億人もの読者がいると言われている「指輪物語」は、「ファンタジー」のジャンルさえ飛び越えて、イギリスを始めとする各国の世論調査や投票などで、「20世紀で最も偉大な本」や「最も好きな本」に選ばれています。

その人気を語るエピソードのひとつが、このサイトの「本のガイドブック」のフロアで紹介している岩野礼子著の『イギリス・ファンタジーへの旅』(晶文社刊)に紹介されています。

このページのトップへ

『聖書』から20世紀までに書かれたすべての本の中で一位という投票も

この本の「されど指輪物語」という章によると、1997年(平成9年)にイギリスで大手の書店チェーンとテレビ局が合同で実施した「20世紀の名著百選」の投票の結果、「指輪物語」が一位に輝いたということです。

対象となった本は20世紀の出版に限定したものではなく、過去に書かれた『聖書』を含むすべての本で、フィクション・ノンフィクションも問わないということです。

その条件で一位というのは驚くべきことですが、この結果に対して「指輪物語」のファンの組織票ではないかという疑いが持たれました。そのため、組織票が出ないようにあるブッククラブのメンバーの一万人以上に、改めて投票してもらいましたが、「指輪物語」がまた堂々の一位に輝いたそうです。

このエピソードだけでも、この作品の人気のほどが伺われます。

「指輪物語」は「ファンタジー」のジャンルを確立し、そして自ら確立した「ファンタジー」のジャンルさえ飛び越えて、多くの人々の心を捉える名作と言えるでしょう。

このページのトップへ


素晴らしい物語ながら設定がわかりにくい

このように「指輪物語」が名作であることは間違いありませんが、初めて読む人には設定が飲み込みにくいのも事実です。

それは作者のトールキンが、この物語の舞台である「中つ国(なかつくに)」の地理、神話、歴史、種族そして言語までも、緻密に設定しているからです。つまり、トールキンの頭の中にしか存在しない事象に基づいた、初めて読む人には意味のわからない言葉が文中に散りばめられていることになります。

このページのトップへ

トールキンはエルフ語を創作し、その言語に物語を与えた

もともとトールキンは、幼い頃から北欧の神話や伝説に興味を持ち、長じてはオックスフォード大学の英語学や英文学の教授になりました。しかし、彼が生涯を通じて情熱を傾けたのは、「エルフ語」の創作だったということです。

「エルフ」はヨーロッパの神話に登場する「妖精」ですが、トールキンの創作した世界では、それらの神話のエルフよりももっと強い物語性を与えて、神々や人間たちとも交流し、長い歴史の中に生きている存在として描かれています。

トールキンは言語学の専門家だったので、学者らしい緻密さを持って、自ら思いついたエルフの言葉を体系づけて作り上げました。そして、北欧の神話や伝説を思わせる、自らの宇宙とも云うべき世界の神話と伝説を作り上げていました。

これらの神話と伝説を書いたのは、「指輪物語」の「著者ことわりがき」によると、『エルフの言葉に「歴史」的背景を与えるため』だったそうです。

J・R・R・トールキンが作り上げた神話と伝説は後年、彼の死後に三男クリストファーの編集を経て1977年(昭和52年)に『シルマリルの物語』として出版されることになります。

iconicon

この『シルマリルの物語』に収録されることになる物語の創作は、『ホビットの冒険』を出版する1937年(昭和12年)より以前の、1910年代から始められていました。

このページのトップへ

「中つ国」は有史以前の地球の姿という設定

「指輪物語」の舞台「中つ国(なかつくに)」(英語では“MIDDLE−EARTH” ミドル・アース)は、架空の世界、異世界とは云っても現実の世界と全く異なる天体ではなく、トールキンは、この地球の有史以前の姿として設定しました。

そしてその創世後、第一紀から第四紀までの時代区分を設定し、「指輪物語」で語られるのは第三紀の終わり頃の歴史ということになっています。

ですから、その第三紀以前の歴史もトールキンの中では神話や歴史としてすでに形ができていて、「指輪物語」の中で登場人物たちがはるか昔のできごとについて、歴史上の事実として言及します。

それらの古事は文中で登場人物たちによって歌われ、またエルフ語も述べられていて、それが独特の趣きを物語に添えています。

登場人物も、エルフや小人族のホビットやドワーフ、人間や魔法使いたち、悪の冥王とその手先のオークなどと多岐に渡っています。

「指輪物語」の世界に初めて触れる人はこの世界の設定がよくわからないため、人によっては意味不明の言葉の羅列に読み進められず、立ち往生してしまう可能性もあります。特に、1冊目の『旅の仲間』の序章から読もうとすると、その危険が大きいと思います。

もちろん、それらの言葉の意味がよくわからなくても、序章は飛ばして本文から入り、ストーリーのおもしろさでどんどん読み進めて楽しむこともできますが、その場合でも「あの言葉はいったいどういう意味か?」という多くの疑問は残ります。

このページのトップへ

疑問を解くには『シルマリルの物語』と『終わらざりし物語』を

「指輪物語」を読んだだけでは、意味不明の言葉の謎は解けません。「中つ国」の神話と歴史書である『シルマリルの物語』と、更に、やはり三男のクリストファーが編集した『終わらざりし物語』を読めば、疑問に一応の答えが得られます。

また、文中で述べられるエルフ語についても、解説書が出版されています。トールキンは、実際にどこかの国や地域で使用されてもおかしくないほど緻密に、エルフ語を作り上げていたのです。文中に意味のわからないカタカナが並んでいても、決して適当に書かれたものではありません。

「指輪物語」だけでも、A5判にして1冊300ページあまりの本が7冊あるという大長編の物語です。その他に『シルマリルの物語』と『終わらざりし物語』を、と言われては「指輪物語」自体を読む気が失せてしまうかも知れません。

このページのトップへ

映画を先に見るのもひとつの方法

ですから、いつもは「原作を読んでから映画を」とお勧めしているのですが、この作品に限っては、先に映画をご覧になるのも良いのではないかと思います。

どの映画も原作からのストーリーの変更や省略がつきものです。ピーター・ジャクソン監督の映画「ロード・オブ・ザ・リング」にも原作からの変更がかなりあります。

しかし、大きな流れは原作に沿っていて、風景や建物などがとても美しく、登場する俳優たちの演技も物語のドラマチックな魅力を更に高めているので、「指輪物語」の輪郭を知るという目的に適していると思います。

映画を見て興味が湧いたら原作へ、そして原作を気に入ったら物語の背景を知るために『シルマリルの物語』や『終わらざりし物語』を読まれることをお勧めします。

この素晴らしい作品を、設定がわかりにくいという理由で最初からシャットアウトせずに、まず映画からでも知っていただきたいものです。

iconicon

このページのトップへ


ビルボの持ち帰った指輪がフロドを過酷な旅に

「指輪物語」のストーリーは、前作『ホビットの冒険』で、主人公のホビット(小人)族のビルボ・バギンズが冒険の旅の途中で手に入れて持ち帰った指輪を巡るものです。

今度は、ビルボの親戚で彼の養子となったフロド・バギンズがある使命を託され、指輪を携えて、仲間と共に世界の命運を握る旅に出ます。

ホビット族は食べることが好きで、素朴な田園の暮らしを愉しむ、争いを好まない穏やかな種族です。フロドとその仲間たちは、そのような暮らしとは対極にある過酷な旅の途中、人間やエルフ、ドワーフたちと出会い、ホビットたちの住む「ホビット庄」の外の世界の姿を知ることになります。

そして、読者も読み進むにつれて、フロドたちと共に「中つ国」の地理や種族、歴史、気候などを知る形になります。

先に映画を見ると、本の展開は遅く感じる

先に映画を見た人には、本の「指輪物語」の展開がずいぶんと遅いと感じられることでしょう。これは映画の方が、その特性を活かしてドラマチックな見せ場を作るために、原作よりも展開を速くしてストーリーにも変更を加えているからです。

先に述べたように、映画は物語の輪郭を知るのに適していますが、原作とはまた別のものです。映画には映画の、本には本のそれぞれの良さがありますが、「指輪物語」はノベライズ化されたものではありませんので、本の方が「主」です。

このページのトップへ

文中の歌の数々が典雅な雰囲気や明るさを添える

また、文中にはたくさんの歌(詩)が登場します。「中つ国」の古事に題材を取ったものの他に、ビルボが作った歌や他の登場人物の歌など、いろいろな雰囲気のものがあり、これは「指輪物語」の特徴の一つです。

多数の歌の挿入は、他のファンタジー文学にはあまり例がなく、ストーリー展開を重視する人ならばこの歌を読み飛ばしてしまうかも知れません。しかし、この歌が物語に「典雅」とも言える格調を与えていて、また歌によってはシリアスな物語の中にも「明るさ」を添えています。

『シルマリルの物語』を読めば、歌われている古事の意味はわかります。

「生と死」の狭間で発する言葉には傾聴に値するものが

物語は、「ビルボの111才の誕生日のパーティ」というなごやかな始まり方をしますが、すぐに世界情勢の絡んだシリアスな展開になります。指輪を携えて旅に出るフロドとその仲間たちは、常に「生と死」の狭間にいることになりますが、実は旅立ち以前から危険が迫っています。

そのような緊迫した情勢の中で次々に起こるドラマチックな出来事のおりおりに、登場人物の発する言葉には、心に残る言葉がたくさんあります。

特に魔法使いのガンダルフの言葉には、人生の座右の銘になりそうなものがあります。それぞれの言葉に作者トールキンの価値観、人生観が伺えます。

また、世界の命運を握ることになったのが、武ばったところのない、とるに足りない存在と思われていた小人のホビット族のフロドだったということも象徴的です。

館長は、この「指輪物語」全体に描かれたトールキンの価値観に、深く共感するものです。具体的に、どのような価値観なのかは、ぜひ読者個々人に本で確かめていただきたいと思います。

登場人物すべての個々の戦いが大団円へと収束

この「指輪物語」の見どころをまとめると、壮大でかつ緻密な舞台設定と、ドラマチックなストーリー展開、そして登場人物たちの魅力ということになると思います。

作者は「中つ国」の距離や方向や日付、日程までも細かく計算して登場人物を動かしたそうです。その緻密な設定の中で登場人物たちは、それぞれの置かれた環境で、それがたとえ絶望的だと思える中でもできる限りの努力をして、フロドの使命達成のため、側面から援護します。

もちろん、フロド本人も忠実な従者のサムと共に、精神的にも肉体的にも耐えられる限界を超えるほどの努力をし、旅を続けます。

そしてクライマックスに至るのですが、もっとも過酷な使命を負わされたフロドはもちろんのこと、登場人物たちのうち誰かひとりが抜けても、この大団円は迎えられませんでした。

『シルマリルの物語』の創世神話によれば、この世界は神々の歌によって作られたことになっています。歌によって作られた世界というのはすてきな発想だと思いますが、後世でフロドたちが大変な苦難に遭うことになるのも、元はといえば、この時に不協和音を奏でた者がいたことに遠因があります。

それを思うと、「指輪物語」の登場人物たちのそれぞれの戦いが収束する大団円は、まるでオーケストラの各パートが最善を尽くして演奏して、それらが素晴らしいハーモニーとなり、一大シンフォニーが聴衆の耳に届く様のようにも感じられます。創世時の不協和音をかき消すような、素晴らしいハーモニーです。

このページのトップへ


「指輪」の意味は個々人の自由な解釈で

物語のモチーフとなっている「指輪」ですが、物語の中での指輪の持つ特性を考えると、作者は「核兵器」になぞらえているのではないかと、館長には思えました。トールキンが二度の世界大戦を経験していることからも、そう感じました。

しかし、後書きに当たる「著者ことわりがき」によれば、そのような意図ないそうです。「著者ことわりがき」には、『これは寓意的なものでもなく、今日的な問題を扱ったものでもない』とあります。

また、「指輪物語」を書いた『一番の主な動機』は、『本当に長い話で腕試しをしたい』ということであり、『事実であれ、作為であれ、読者の考えや経験に応じてさまざまな適応性を持つ歴史のほうがずっと好きである』とも述べられています。

「指輪物語」が伝えたいことは「これだ」と決め付けずに、読者それぞれが自由に受け止めて欲しいということでしょう。

まず物語に没頭して愉しんで

ですから、読者は作者の意を汲んで深読みすることなく、まず物語に没頭してそれを愉しむことが一番良いような気がします。

ただ、そうして愉しみながらこの大長編の物語を読み終えた時に、トールキンが述べているように、読者それぞれの『考えや経験に応じて』、物語からなんらかのメッセージが届きます。

受け取るものはそれぞれで異なっても、きっと誰もが自分の価値観の広がりを感じることでしょう。「指輪物語」は、決して読んで損はしない、読み手に「良い」影響を与えてくれる物語です。

J・R・R・トールキンが創造した、このもうひとつの「地球の歴史」を、多くの方にぜひ読んでいただきたいと思います。

iconicon

このページのトップへ


作者J・R・R・トールキンは12才で孤児に

作者のJ・R・R・トールキン(John Ronald Rowel Tolkien)は、1892年(明治25年)南アフリカのブルームフォンテンに生まれました。(ミドルネームの“Rowel”を“Reuel”と表記しているサイトもあります。ここでは、『指輪物語完全ガイド』(河出書房新社刊)の表記に従いました。)

イギリス滞在中の3才の時に父が病死。そのためイギリスに移住。12才で母が病死して、2才年下の弟と共に孤児になります。その後はキリスト教(カトリック教会)のモーガン司祭が後見人となり、司祭や親戚などの世話を受けて成長しました。

1911年(明治44年)、オックスフォード大学に入学。同大学を卒業後、第一次大戦に従軍などを経て、オックスフォード大学の教授となり、中世の英語学と文学を教えました。

第一次大戦中の1916年(大正5年)に、8年前の16才のときに出会ったエディス・ブラットと結婚し、三男一女に恵まれています。

1937年(昭和12年)に『ホビットの冒険』を出版。

1954年(昭和29年)に「指輪物語」の『旅の仲間』と『二つの塔』を、翌年に『王の帰還』を出版。

1959年(昭和34年)に引退。

1973年(昭和48年)に81才で死去しています。

その墓には、『シルマリルの物語』の中の「べレンとルシアン」の物語にちなんで、妻エディスを「ルシアンことエディス・メアリ・トールキン」、J・R・R・トールキンを「べレンことジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン」と刻まれているそうです。トールキンは愛妻家でした。

著書には「中つ国」を舞台にした作品の他に、絵本『ブリスさん』や児童書『仔犬のローバーの冒険』などと、専門の学術書が多数あります。

訳者の瀬田貞二さんについて

訳者の瀬田貞二さんは、1916年(大正5年)生まれ。児童文学の創作、翻訳、批評家ですが、外国児童文学のファンには訳者としておなじみの名前です。「指輪物語」の前作『ホビットの冒険』や、C・S・ルイスの「ナルニア国ものがたり」シリーズなどの訳者としても知られています。

他にこのサイトでも紹介している『人形の家』『ロバのシルベスターとまほうの小石』など、多数の訳書があります。

瀬田さんの訳は、言葉に独特のセンスがあって読みやすい文章です。俳句の素養があったそうです。

瀬田さんは1979年(昭和54年)に、死去しています。

さし絵画家の寺島龍一さんについて

さし絵画家の寺島龍一さんについては、調べてみましたが、残念ながらわかりませんでした。「指輪物語」の前作『ホビットの冒険』(岩波書店刊)のさし絵も描かれているので、『ホビットの冒険』を読んでいる方にも違和感がないと思います。

(なお、『ホビットの冒険』の説明ページでは、「竜一」と表記しています。これは、それぞれの本の表記に従いました。)

但し、「指輪物語」のB5判のさし絵は、寺島さんではなくて、映画「ロード・オブ・ザ・リング」の美術を担当したアラン・リーです。

このページのトップへ


評論社より出版

「指輪物語」全作品は、評論社から出版されています。

本国イギリスでの初版発行は、1954年(昭和29年)から翌年にかけてです。長編なので2年間に渡って刊行されました。日本での初版発行は1972年(昭和47年)から1975年(昭和50年)です。

必ず『旅の仲間』『二つの塔』『王の帰還』の順に

「指輪物語」は、『旅の仲間』『二つの塔』『王の帰還』の「三部作」といわれますが、これは厳密に言うと正確ではないと思う人もいるようです。

それは、「指輪物語」が大長編のひとつの物語だからです。「ナルニア国ものがたり」シリーズのような、一冊ずつ独立して読める作りではなく、続きものです。タイトルを付けて分冊したのは、出版の都合によるものです。

ですから、必ず『旅の仲間』『二つの塔』『王の帰還』の順に読まないと、ストーリーの流れがわかりません。ご注意ください。

出版社の年令指定はなし

もともと児童書として書かれた『ホビットの冒険』とは違って、出版社による年令指定はありません。大人を読者に想定していると思いますが、中学生になっていれば読めると思います。

序章はとばして後で読んで

『旅の仲間』の序章は「ホビット」に関する記述なのですが、この部分は歴史書の体裁を取っているため、初めてトールキンの世界に触れる方には意味が取れず、読みにくいところです。ここはとばして、全巻を読み終えた後で読むと「なるほど」と楽しめます。

(序章の「四 指輪の発見について」が、『ホビットの冒険』の一部分の記述をまとめているところです。全く初めての方は、この部分を読むのであれば、むしろ『ホビットの冒険』を読んだ方が楽しめるし、「中つ国」の雰囲気もつかめると思います。)

iconicon

また、序章には物語の結末に言及している部分がありますので、「指輪物語」の結末を知らない方にはネタバレになってしまいます。ご注意ください。

「指輪物語」の出版にもレイナー少年が

「指輪物語」は、完成してから出版されるまで、5年程かかっています。

トールキンは、「指輪物語」の背景を読者に理解してもらうために、『シルマリルの物語』も同時に出版してもらいたいと考えていました。しかし、始めに相談をしたコリンズ社では、2冊同時出版はできませんでした。

そのため、トールキンは『ホビットの冒険』の出版社であるアレン&アンウィン社に話を持ちかけます。

『ホビットの冒険』の説明ペーに述べたように、その感想が『ホビットの冒険』を出版する決め手となったレイナー少年が、当時すでに成長して父親の会社であるアレン&アンウィン社で働いていました。

トールキンは彼と相談して、「指輪物語」を三分冊し、『シルマリルの物語』の代わりに「追補編」を付け加えて出版することになりました。

レイナー少年が、『ホビットの冒険』と「指輪物語」の両方の出版に深く係わっていたわけです。

B5判・A5判・文庫判で出版

「指輪物語」は、B5判・A5判・文庫判で出版されています。

B5判は、『旅の仲間』『二つの塔』『王の帰還』が各一冊ずつで全3巻。ハードカバーで箱入りです。価格は1冊¥8,190(¥7,800+税5%)。さし絵は、映画「ロード・オブ・ザ・リング」の美術を担当したアラン・リーです。

『旅の仲間(上)』A5新装版  『旅の仲間』の説明ページへA5判は、『旅の仲間』『二つの塔』『王の帰還』のそれぞれ各2冊ずつと、追補編1冊の全7巻。ハードカバーです。価格は1冊¥2,310(¥2,200+税5%)。

この追補編は、旧版では『王の帰還』の下巻に含まれていました。新装版で独立して、一冊になりました。

追補編には、「指輪物語」の時代より以前の「中つ国」の歴史や、「指輪の仲間に関するその後の出来事」などが収録されています。旧版(菊判)では省略されていたエルフ語についての記述も、A5新装版で収録されました。

『旅の仲間(上1)』 文庫判  『旅の仲間』の説明ページへ文庫判は、『旅の仲間』4冊、『二つの塔』3冊、『王の帰還』2冊と、追補編1冊の全10巻です。ソフトカバーです。

価格は追補編のみが¥945(¥900+税5%)で、そのほかは1冊¥735(¥700+税5%)です。

このページのトップへ


「指輪物語」関連のオンライン書店のページ

「指輪物語」の第一作目の『旅の仲間』については、『旅の仲間』の説明ページ下部にリンクがあります。

B5判A5判文庫判など判ごとにまとめたページ、関連本のページもありますので、そちらもご覧ください。

映画「ロード・オブ・ザ・リング」のDVDはこちらです。


「指輪物語」関連のホームページ

「指輪物語」の出版社
      評論社


このページの情報は、評論社の目録や『ホビットの冒険』『指輪物語』の後書き、『指輪物語完全ガイド』(河出書房新社)などによります。なお、このサイトの他の本の表紙画像同様、『旅の仲間』の旧版の表紙画像の掲載についても、出版社の評論社から許可をいただいています。


クレジット こども図書館ドットコム