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   『旅の仲間』  「指輪物語」1    

「指輪物語」の1冊目『旅の仲間(上)』A5新装版  この画像はリンクしていません

B5判・A5判・文庫判
(イギリス)
J・R・R・トールキン 作
瀬田 貞二 訳
寺島 龍一 絵
評論社
B5判 ¥8,190(本体価格¥7,800+税5%)
A5判 ¥2,310(本体価格¥2,200+税5%)
文庫判 ¥735(本体価格¥700+税5%)


「指輪物語」の1冊目

「指輪物語」の1冊目。本国イギリスでの初版発行は、1954年(昭和29年)。日本での初版発行は、1972年(昭和47年)。

『ホビットの冒険』の続編に当たる物語です。


『旅の仲間』のあらすじ(冒頭部分のみ)

ホビット村では、袋小路屋敷に住むビルボ・バギンズ氏の111才の誕生日の祝宴の噂で持ちきりでした。

ビルボは「大金持ちで大変人」の上に、年を重ねても活力が衰えず、ホビットたちの間では驚異の的となっていました。

ビルボは99才になったときに、親戚のフロド・バギンズを養子にして袋小路屋敷に迎え入れました。この二人はたまたま誕生日が同じだったので、毎年合同の誕生祝いを行ってきました。

しかし、ビルボが111才でフロドが33才になる今度の祝宴は、いつもとは違う催しを行うらしいと、ホビットたちの間に知れ渡っていました。

その当日が近づいてくると、ドワーフ小人たちや魔法使いのガンダルフがやってきました。ガンダルフとビルボは旧交を温めつつも謎めいた会話を交わし、祝宴のための品物はぞくぞくと運び込まれて準備が進みます。

ビルボの家のそばの原っぱには、生えている木がすっぽり納まる大テントが作られて、祝宴にはたくさんのホビットたちが招待されました。

歌や踊りにたくさんの食べ物や飲み物、ガンダルフによる趣向を凝らした花火など、盛大な宴会をお客たちは楽しみました。

しかしビルボは、宴会の終わりの挨拶でフロドを自分の後継ぎと宣言して、「わたくしは行きます。」と告げた途端に姿を消してしまいます。

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平和なホビット村の描写から一転、シリアスな展開へ

前作『ホビットの冒険』の旅から帰ってもう60年ほどたった、ビルボの111回目の誕生日のパーティーから物語は始まります。

しかし、楽しいパーティーの描写は束の間で、やがてビルボが冒険の旅から持ち帰ってフロドに譲り渡した指輪が、ホビット村を含めた「中つ国」全体の存亡の鍵を握る力を秘めたものだと判明します。

『ホビットの冒険』は、わくわくする楽しい冒険の旅を描いていましたが、続編に当たる「指輪物語」は、旅をする全員がその命はもちろんのこと、自分たちの住む世界の存在そのものに関わるというシリアスな旅になります。

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序章は飛ばして本文へ

このような内容なので、とても読み応えのあるストーリーなのですが、1冊目の『旅の仲間』の序章から一字一句、ていねいに読もうとすると、挫折する危険があります。 

それは、『「指輪物語と作者についてのページ』でも述べたように、作者のJ・R・R・トールキンが物語の舞台の地理、神話、歴史、種族、そして言語に至るまで緻密に設定しているからです。

特に『ホビットの冒険』を未読で、いきなり『旅の仲間』の序章を読もうとすると、意味のわからない言葉の氾濫と、おまけに固い文章に出会って、読み進む気力を無くすかも知れません。

そして序章には「指輪物語」の結末に言及している部分があるので、ネタバレになってしまいます。

また、序章の「四 指輪の発見について」が『ホビットの冒険』の一部のストーリーをまとめている部分ですが、これも初めての方には意味がわかりにくいと思います。

館長のお勧めは、全く序章を読まずに本文から読み始めるか、または『ホビットの冒険』を読んで、やはり序章は読まずに本文に入る、のどちらかです。

序章は全巻を読了し、中つ国に親しんだ後で読んだほうが楽しめます。

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『ホビットの冒険』と「指輪物語」は赤表紙本

物語の設定では、『ホビットの冒険』はビルボが、「指輪物語」はフロドが同じ一冊の赤い革表紙の本に書き記したということになっています。

そしてこの本の内容は「事実」として、本自体はある家系に代々伝えられたということになっています。ですから、トールキンはこの物語の「事実」に真実味を添えるために、物語自体とは違う、歴史書のような固い文章の序章を付け加えているということです。

序章を飛ばして物語の本文に入ってしまえば、ストーリーに没頭して読めると思います。原書の英語の文章と比べると、訳文は雰囲気が違うという指摘もあるようですが、館長には原書を読む英語力がないので、その点はわかりません。しかし、原書を知らずに読んでも、充分楽しめて感動できる訳文です。

また、物語に登場する「中つ国」特有の言葉や古事の意味は、『シルマリルの物語』(評論社刊)や、『終わらざりし物語』(河出書房新社刊)を読めばわかります。

「指輪物語」の1冊目『旅の仲間(上)』旧版(菊判)  この画像はリンクしていませんまた、指輪物語の旧版(菊判)は、この「赤表紙本」を模すためだと思いますが、左の画像のように赤い布張りのハードカバーで、箱に絵が描かれていました。(現在出版されているA5新装版は、ハードカバーですが、箱入りではありません。)

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「袋小路屋敷」はトールキンの人生から

『ホビットの冒険』も『旅の仲間』も、ビルボの家「袋小路屋敷」から始まります。

日本語版の『ホビットの冒険』(岩波書店刊)では、「袋小路屋敷」という名前ははっきりとは記されず、あるビラに「ホビット村山の下袋小路」と、住所として「袋小路」という名が記されているだけです。しかし『旅の仲間』では、第一章からはっきりと「袋小路屋敷」と記されています。

このちょっと変わった名前「袋小路屋敷」は、英語では“BACK END(バックエンド)”。これはトールキンの母方の叔母さんが住んでいた農場の名前なのだそうです。

相次いで両親を亡くして、12才で弟と共に孤児となったトールキンは、その後キリスト教(カトリック教会)の司祭や親戚などの世話になって成長しますが、この母方の叔母さんの住む場所が、トールキンの心の中で大きな比重を占めていたのかも知れません。

またトールキンは、オックスフォード大学に入学する前に、この母方の叔母さんや弟、友人などとスイス旅行をしています。この旅の時の経験が後年、「赤表紙本」の物語に大きな影響を与えているようです。

トールキンの本の「ゴブリン」と「オーク」は同じ生き物

『ホビットの冒険』を読み、次に『旅の仲間』に進んだ方は、「ゴブリン」が「オーク」と、呼び名が変わっているのでご注意ください。

『指輪物語完全ガイド』(河出書房新社刊)によれば、「指輪物語」の時代では「ゴブリン」のことを「オーク」といい、それを英語訳にしたものが「ゴブリン」であるという設定です。(トールキンは、「指輪物語」の時代はこの地球の有史以前の時代として設定しました。)

『ホビットの冒険』を読み終わって、『旅の仲間』に進んだ直後は違和感があるかも知れませんが、「オーク」も「ゴブリン」も同じ生き物でただ呼び名が変わっただけと思って良いようです。

「オーク」は“ORC”。「魔物(デーモン)」を意味する古英語を基にしてトールキンが創作した言葉だそうです。このオークは、「昼間の光に弱い」という設定です。

(もともと、「ゴブリン」は「エルフ」と同じように、ヨーロッパの神話の妖精です。トールキンはこれらの神話でのイメージとは異なる、独自の「ゴブリン」と「エルフ」を作りました)。

魔法を使わない魔法使い「ガンダルフ」

多分『旅の仲間』を読み進めるうちに、多くの方が疑問に思うことでしょうが、冒頭から姿を現す魔法使いのガンダルフは、姿形は私たちが連想する魔法使いそのものですが、行動を見ると「魔法」はあまり使いません。

ガンダルフは、いわゆる「魔法」使いというよりは広い知識や、智恵の持ち主として描かれ、危機的状況にあっても、私たちがイメージするような「魔法」は使いません。

理由は、追補編の「第三紀」の章に書かれています。ガンダルフはいわゆる「魔法」を使うことを禁じられているという設定です。これはトールキンが「魔法」で安易に事を解決することを嫌ったからとも言われています。

ガンダルフについては、『シルマリルの物語』の「力の指輪と第三紀のこと」や、『終わらざりし物語』の「イスタリ」の章にも記述されています。

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「指輪物語」はひとつの流れの大長編

「指輪物語」は、1冊ずつ独立して読めるC・S・ルイスの「ナルニア国ものがたり」シリーズとは違い、ひとつの続き物の大長編の物語です。

このサイトでは、シリーズものや全集は、その全体に対する説明ページと1巻ずつに対する説明ページを作っていますが、「指輪物語」については、この『旅の仲間』以外の巻の説明ページは作りません。

なぜかというと、巻ごとの説明ページに「あらすじ」を記しているからです。たとえば『二つの塔』の説明ページを作ろうとすると、「あらすじ」でどうしても『旅の仲間』のラストの部分に触れてしまい、ストーリーを知らない方にとっては、ネタバレになります。

このサイトは、その物語を読んだことのない方を対象にして説明ページを作っていますので、ネタバレは避けています。ですから、この「指輪物語」だけは、変則的なページ作りになります。ご了承ください。

また、『旅の仲間』関連のこのサイトの『ホビットの冒険』のページ、『「指輪物語」と作者について』のページ、『「中つ国」歴史地図』のページもどうぞご覧ください。

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『旅の仲間』関連のオンライン書店のページ

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B5判A5判文庫判など判ごとにまとめたページ、関連本のページもありますので、そちらもご覧ください。

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このページの情報は、評論社の目録や『ホビットの冒険』『指輪物語』の後書き、『指輪物語完全ガイド』(河出書房新社)などによります。なお、このサイトの他の本の表紙画像同様、『旅の仲間』の旧版の表紙画像の掲載についても、出版社の評論社から許可をいただいています。


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