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     『トットちゃんとカマタ先生のずっとやくそく』

『トットちゃんとカマタ先生のずっとやくそく』 この画像はリンクしていません

四六判(13×18.8cm)
(日本)
黒柳徹子・鎌田實(みのる) 著
いわさきちひろ イラスト
ソフトバンク クリエイティブ
¥1,575(本体価格¥1,500+税5%)


女優の黒柳徹子さんと、医師鎌田實(みのる)さんの対談集

女優であり、ユニセフの親善大使でもある黒柳徹子さんと、著書『がんばらない』がベストセラーになり、ドラマ化された、長野県の諏訪中央病院の名誉院長である鎌田實(みのる)さんの本。

出版社の年令指定は特にありませんが、小学校高学年ぐらいからおとなまでを対象にした本だと思われます。

2007年(平成19年)7月、初版発行。

対談と交代で書かれたエッセイで構成

この本は十章に渡る対談がメインで、各章に「第一章 みらい」「第二章 あこがれ」というように、ひらがなのタイトルが付けられています。対談の後には、その章で語られた内容に関するエッセイが掲載されています。

「第一章 みらい」のエッセイは『カマタ先生のひとりごと「イラクで考えたこと」』、「第二章 あこがれ」のエッセイは『トットちゃんのひとりごと「偶然が左右する人生」』、というように、章ごとにおふたりが交代してエッセイを書かれています。

対談の収録だけではなく、その対談の内容を掘り下げたエッセイを掲載することで、読み応えのある本になっています。

また、前書きの「はじめに」は鎌田さん、後書きの「おわりに」は黒柳さんが書かれていて、どちらかに偏らず、お二人が協力し合って作った本、という印象を強めています。

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各章の内容

この本の第一章は、イラクの子どもたちの現状について、第二章では黒柳さんと鎌田さんの仕事を始めた頃の話、第三章はLD(学習障害)や、母と子の関係についてなどが語られます。

第四章は父親について、第五章はおふたりのそれぞれの両親について、第六章はボランティアやユニセフの仕事について。

第七章は、黒柳さんがユニセフの親善大使として訪れた国々の現状と、日本の社会について、第八章は健康法について、第九章は「幸せ」や食事について語られます。

そして、第十章では海外で活動する理由や、日本に住んでいる自分たちは何をすれば良いのか、ということなどが語られて、この本が締めくくられます。

内容にぴったりの「いわさきちひろ」の絵

表紙の絵と各章の扉絵には、「十ヶ月」と「一才」の乳児の姿を描き分けることができたという画家、「いわさきちひろ」の絵が使われています。表紙の絵は少年と少女が指切りをしている絵、各章の扉絵はその章の内容によく合っている絵が使われています。

それらの絵は、まるで章の内容に添った絵を注文して描かれたかのように感じられます。とても、三十年以上前に亡くなった画家の絵を使ったとは思えないほどです。

美しい色彩で描かれた、「いわさきちひろ」の水彩画の穏やかで優しい印象が、この本をさらに親しみやすいものにしています。

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いろいろなものごとをどう考えたら良いのか

この本には、「はじめに」に述べられている通りの『子どもたちに生きるヒント』になり、『子育てに苦労しているお母さんに、子育てのヒント』になること、そして『人間にとって何が大事なのか』ということが読みやすい文章で綴られています。

黒柳さんと鎌田さんは、率直に自らの生い立ちや仕事について語り、世界の国々で見た現状についても語り合います。

自分たちの経験から感じたり、考えた、外国と日本の社会のいろいろなものごとについて、どう考えたら良いのかを、押し付けることなく、提言しています。

戦争や内乱の国の惨状と精神的な荒廃の日本について

戦争や内乱の中にある国の内情については、実際に足を運んだ人の経験談に、やはり耳を傾けるべきものがあります。日本に住み、日本だけが唯一の世界と考えてしまうと、とても想像できない惨状が、おふたりの会話から見えてきます。

また、うわべは豊かに見えるけれども、精神的には荒廃を感じる日本の社会については、それがどのような考え方によってもたらされたのか、何に重きを置いて考えて日常生活を送ればよいのか、などが述べられています。

これらについてのおふたりの考えに、館長は、深い共感を持ちながら読み進むことができました。

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ボランティア活動の意義

ボランティア活動についても、それ自体は有意義な行為でありながら、有名人などが行うと、その動機が善意以外のものではないか、という疑念を持たれることがあります。

黒柳さんと鎌田さんは、日本にも困っている人たちがいるのに、「なぜ海外で活動するのか」という問いかけに対して、明快な答えを述べています。

日頃、テレビのドキュメンタリーなどを見て、黒柳さんがどのような気持ちでユニセフの親善大使の活動を続けているのかなと思っていた方には、納得の行く答えが得られます。

また、活動を続けても「世界は良くならない。むなしくならないか」という問いに対する答えも、はっきりと述べています。

その答えがどのようなものかは、実際にこの本を読んでいただきたいのですが、館長は黒柳さんのこの答えに、子どもの頃読んだバーネット作の『小公子』(新潮文庫・中村能三 訳)の一節を思い出しました。

それは、『ある人が生きていたために、この世の中がちょっぴりでもよくなるということこそ、一ばんいいことなんだよ、セドリック、ーどんなことよりもいいことなんだよーたとい、それがどんなにちょっぴりでも』という文章です。

もちろん、黒柳さんがされている活動は「ちょっぴり」ではなく、多くの成果を上げられていると思いますが、黒柳さんの答えには、このバーネットの作品の価値観と共通したものを感じました。

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「生きるヒント」を引き出したユニークな質問も

厳しい状況にある国の人々の現状を語っている章があるからといって、決してかた苦しい本ではありません。

「第八章 げんき」には、黒柳さんが若い頃、医師に問うたという、とてもユニークな質問が対談の中で述べられています。

それはなんと、『一生、死ぬまで病気をしたくないんですけど、どうしたらいいですか?』というものです。

鎌田さん曰く、『すごい質問』。

確かになかなか思いつかない質問ですが、この問いに対する答えがまたふるっています。一瞬、「むずかしいな」と思う答えですが、良く考えてみると、その価値観はなるほどと、納得できるものです。

なかなか実践できにくいアドバイスですが、そのアドバイスを黒柳さんがどう考えたかは、他の人たちにも「生きるヒント」になりそうです。

このようにどの章にも、心に残る言葉や文章があふれています。子どももおとなも誰でもが、「生きるヒント」を得られる本です。

「ずっとやくそく」の意味は前書きに

そもそも、書名にある「ずっとやくそく」という言葉の、「やくそく」は、黒柳さんが小学校の先生と、鎌田さんが亡父と交わした約束のことです。

その約束がどんなものだったかは、前書きの「はじめに」に書かれていますが、その約束の実現のために作られたのが、この本です。

その意図の通りに、この本を読み終わった読者は、それまでよりも視野を広げて物事をまた違った角度から見ることができると思います。

戦争、平和、病気、健康、家族などさまざまなことについて、少しずつ、ゆっくり考えながら、文章を味わいたい本です。

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出版社の年令指定はなし、このサイトでは「中学生以上」

出版社のソフトバンククリエイティブのサイトでは、この本には特に年齢指定はありません。この本の「はじめに」に「小学生からおとなまで」という言葉があるので、大体小学校高学年からおとなまでを対象に作られていると思われます。

先に述べたように、「いわさきちひろ」の優しい印象の絵が、この本に親しみややすさを添えていて、重いテーマも、子どもでも理解できるような、平易な文章で表現されています。

ですから、館長の年令指定は「小学校高学年」からにしようかと思いました。

しかし、世界の国々の現状を語っている章の中に、極めて厳しい状態に置かれている子どもの様子などが述べられていて、この事実を受け止めるには「中学生以上」の方が適当かと考えました。

また、明確に「児童書」とされているわけではないせいか、漢字のルビが少なめなので、それも考慮しました。活字自体は読みやすい大きさで、対談の部分とエッセイの部分は活字の種類を変えるなど、工夫されています。

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著者の黒柳徹子さんについて

黒柳徹子さんは東京生まれで、東京音楽大学声楽科卒。NHK放送劇団に入団して、テレビ創生期の女優第一号として活躍。

1981年(昭和56年)、著書『窓ぎわのトットちゃん』を出版。700万部を越えるベストセラーになり、世界三十五ヶ国語に翻訳されました。

1984年(昭和59年)にアジアで初の親善大使に任命されて、アジアやアフリカなどの国々を訪問しています。

社会福祉法人「トット基金」理事長や「あゆみの箱」理事、ちひろ美術館館長など、たくさんの活動もされています。

著書は他に、『トットチャンネル』『トットの欠落帳』『不思議の国のトットちゃん』など、多数。

著者の鎌田實さんについて

鎌田實さんは、1948年(昭和23年)東京生まれ。東京医科歯科大学卒業後、長野県の諏訪中央病院で地域医療に携わり、1988年(昭和63年)諏訪中央病院院長。

2000年(平成12年)に著書『がんばらない』がベストセラーになり、その後ドラマ化されました。

2005年(平成17年)に退職し、諏訪中央病院名誉院長。他に東京医科歯科大学臨床教授、東海大学医学部非常勤教授。

また、NHK第一放送の祝日特集番組「鎌田實いのちの対話」に出演しています。

著書はほかに、『あきらめない』『それでもやっぱりがんばらない』『病院なんか嫌いだ』など多数。

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イラストの「いわさきちひろ」について

「いわさきちひろ」は、1918年(大正7年)、東京生まれ。14才頃よりデッサン、油絵の勉強を始め、1946年(昭和21年)日本共産党宣伝部芸術学校に入学。

1947年(昭和22年)、前衛美術会創立に参加し、日本美術会、日本童画会のメンバーになりました。

1949年(昭和24年)、紙芝居『お母さんの話』を描いて、翌年に文部大臣賞受賞。その後多くの絵本を出版し、活躍。

1974年(昭和49年)、病気のため死去。

絵本作品は、『ひとりでできるよ』(小学館児童文化賞受賞)、『あいうえおのほん』(サンケイ児童出版文化賞受賞)、『ことりのくるひ』(ボローニャ国際児童展グラフィック賞受賞)など多数。

前述したように、「十ヶ月」と「一才」の乳児を描き分けられるほどの優れた画力があり、子どもの姿を、特徴のある優しく柔らかい色彩の水彩画で描きました。

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『トットちゃんとカマタ先生のずっとやくそく』の出版社
      ソフトバンククリエイティブ

黒柳徹子さんの公式ホームページ
      トットチャンネル

鎌田實さんのホームページ
      鎌田實オフィシャルウェブサイト

いわさきちひろの美術館
      ちひろ美術館


このページの情報は、本のあとがき、出版社ソフトバンククリエイティブのサイト、ちひろ美術館のサイトなどによります。


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