四六判 上製 カバー
(アメリカ)
アラン・ゾラ・クロンゼック&エリザベス・クロンゼック 著
和邇(わに)桃子 訳
早川書房
¥1,890(本体価格¥1,800+税5%)
「ハリー・ポッター」の「魔法」に関する辞典形式の本
2001年(平成13年)、第一刷発行。
この本は、J・K・ローリングの「ハリー・ポッター」シリーズの第一巻から第四巻までに登場する「魔法」に関する辞典形式の本です。
「ハリー・ポッター」シリーズの説明ページでも述べましたが、このシリーズの「魔法」は、キリスト教がヨーロッパに定着する以前の、ケルト神話や北欧神話、ギリシャ神話、民話、民間伝承、歴史などがルーツとなっています。
J・K・ローリングは、それらを豊かな想像力によって作り変え、現代の「魔法」として仕立て上げました。この本では、その「魔法」のルーツをさし絵入りで、約80項目について解説しています。
歴史的価値のあるさし絵も多く掲載
さし絵は、古いものでは12世紀のものが掲載されています。15、6世紀のものも多く、さし絵そのものに歴史的価値があると言えるでしょう。この本のためにオリジナルのさし絵も描かれています。すべてのさし絵について、巻末に解説があります。
「魔法」のひとつの項目に費やされるページ数は、2〜3ページというものが多いのですが、項目によっては10ページ以上に渡って説明されているものもあります。
しかし、ひとつの項目は短時間で読みきれるものが多いので、気軽にめくれる作りです。適宜、短いコラムも添えられています。
児童書ではありませんが、漢字のルビはかなり多く振られています。しかし、文章そのものが子ども向けではありませんので、対象年齢はやはり中学生以上の方が良いと思われます。
五十音順の項目と、日本の河童や竜にも言及
日本人にわかり易いように、五十音順に項目が並べられています。また、著者はアジアやアフリカ、南米、オーストラリアの神話などには触れなかったと、前書きで述べていますが、実は「河童」の項目があります。
「ドラゴン」の項には、おまけ(?)として「東方のドラゴン」という短いコラムがあり、中国や日本のドラゴン(竜)にも言及されています。
「賢者の石」や「ニコラス・フラメル」にも言及
「ハリー・ポッター」シリーズのファンには、興味深いおもしろい解説書です。たとえば、「賢者の石」や「ニコラス・フラメル」は、J・K・ローリングの創作ではなく、中世の頃、錬金術でこの石を作り出そうとした人々がいたことや、ニコラス・フラメルが実在の人物だったことなどが述べられています。
そのほか、「透明マント」は中世の叙事詩『ニーベルングの歌』に登場していたとか、「マンドレイク」は12世紀の本にさし絵入りで「安全な採取法」が出ていたとか。どれもJ・K・ローリングの創作だと思っていた人もいるのではないでしょうか。そのルーツがこの本に載っています。
「ハリー・ポッター」シリーズに触れてから読む本
ただ、「ハリー・ポッター」シリーズを全く読んでいない、または映画も見ていないという人は、せめてシリーズの本を一冊でも読み終わってから、この『ハリー・ポッターの魔法世界ガイド』を読まれたほうが、楽しめると思います。
先に「ハリー・ポッター」シリーズに触れていないと、「あの魔法のルーツは、これだったのか」と驚く楽しみがありません。この本は、「ハリー・ポッター」シリーズのファンに楽しめる本です。
著者と訳者について
著者については、本に紹介がありませんでした。インターネットで調べたところ、アラン・ゾラ・クロンゼックさんは、ニューヨーク出身で、フリーライターや放送局勤務の後、マジックに関連する著述業や講演、実演などをされているそうです。
他の著書に『大魔法使い アラカザール マジックの秘密』(東京堂出版)。
訳者の和邇(わに)桃子さんは、慶応大学文学部中退、翻訳家。訳書にロバート・ファン・ヒューリックの『真珠の首飾り』(早川書房)があるそうです。
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