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   「少年探偵・江戸川乱歩」シリーズと作者について

「少年探偵・江戸川乱歩」シリーズより(新版) 『怪人二十面相』のページへ

A5変形判(19.5×15.5cm)
文庫判(17.5×13.5cm)
(日本)
江戸川 乱歩 著
藤田 新策 装丁
藤田 新策・佐竹 美保・佐藤 道明 さし絵
ポプラ社
A5変形判 ¥1,029(本体価格¥980+税5%)
文庫判 ¥630(本体価格¥600+税5%)


日本のミステリー界の巨星、江戸川乱歩

日本のミステリーと言えば、真っ先に「日本の探偵小説の草分け」、「日本のミステリー界の巨星」として有名な江戸川乱歩(1894−1965年)の名が浮かびます。

四十代以上の人では、この名を知らない人の方が少ないのではないでしょうか。「日本の探偵小説」というジャンルを作った作家です。

探偵小説に限らず、大衆小説の分野で推理もの、怪奇・幻想小説、少年向け小説などで、たくさんの著作を発表し、独特の作風が人気を集め、没後もずっと読み続けられています。

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乱歩の経歴

「江戸川乱歩」の本名は、「平井太郎」。1894年(明治27年)、三重県名張市生まれ。小・中学生の頃から本好きでした。

1912年(明治45年)早稲田大学予科に合格。1913年(大正2年)経済学科に入学し、在学中にエドガー・アラン・ポーや、コナン・ドイルの著作を読み傾倒。

卒業後は貿易会社、造船所、新聞記者など、さまざまな職を転々とします。

デビュー作は『二銭銅貨』

1923年(大正12年)、雑誌「新青年」に『二銭銅貨』が掲載されて、作家デビュー。

当時は大阪毎日新聞社広告部に勤めていましたが、1924年(大正13年)、作家として専念することを決意して、退社。

『屋根裏の散歩者』や『パノラマ島奇談』で人気を博す

1925年(大正14年)1月に発表した『D坂の殺人事件』には、名探偵明智小五郎が登場します。

その後『屋根裏の散歩者』や『人間椅子』、『パノラマ島奇談』など独特の視線で描いたミステリーを発表し、人気を博します。

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初の少年向けミステリー『怪人二十面相』も大人気

1936年(昭和11年)、雑誌『少年倶楽部』に初めての少年向けミステリー『怪人二十面相』を連載し、これも大人気となります。その後、『少年探偵団』『妖怪博士』『大金塊』と、1939年(昭和14年)まで書き続けます。

第二次大戦下では、作家活動を中断。1946年(昭和21年)からは、海外ミステリーの紹介に力を入れ、1947年(昭和22年)6月に「探偵作家倶楽部」を設立、会長に就任。

1949年(昭和24年)には、少年向けの『青銅の魔人』の連載を、雑誌『少年』で開始します。少年向けミステリーはその後、1962年(昭和37年)の『超人ニコラ』の絶筆まで、書き続けられます。

少年向けミステリーはラジオ・テレビドラマや映画に

『怪人二十面相』や『青銅の魔人』など乱歩の少年向けミステリーは、ラジオドラマ、テレビドラマとして放送され、映画化もされました。

特に、ラジオドラマの「ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団・・・」という歌は、リアルタイムで聴けなかった世代でも始めのフレーズは知っているぐらい有名です。

1965年(昭和40年)7月、乱歩は70歳で脳出血のため、死去しています。

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「江戸川乱歩」は「エドガー・アラン・ポー」のもじり

この「江戸川乱歩」というペンネームは探偵小説の元祖、エドガー・アラン・ポーの名のもじりです。しかし、日本ではこの「元祖」の名を超えて、「江戸川乱歩」という名は「ミステリー界の巨星」として、輝いています。

極めて個性的な乱歩の作風

大なり小なり、小説というものは、現実から離れて独自の世界を作っているものですが、乱歩の作風はそれが顕著です。

特に、一般向けの小説はミステリーと言っても、探偵小説から怪奇・幻想的な小説があり、人によってはかなりはっきりと好みが分かれると思われます。

乱歩が色紙に好んで書いたという「うつし世はゆめ、よるの夢こそまこと」という言葉が乱歩の小説を象徴しています。

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「少年探偵団」のシリーズは、年少の読者に配慮した内容

このサイトでは、少年向けに書かれた「少年探偵団」シリーズを紹介します。一般向けではきわめて個性的な作品を発表している乱歩ですが、この「少年探偵団」シリーズは、年少の読者に配慮した内容になっています。

『怪人二十面相』というタイトルも、当初は「怪盗」とされていたものが、子ども向けに「盗」という文字はまずい、ということで、「怪人」とされました。

また、二十面相が狙うのは美術品や宝石だけで、人は絶対殺さないなど、子ども向け小説についての配慮や見識がきちんとあります。

そういう点も大人気を博した理由のひとつと思われます。

探偵と犯人の知恵比べを、卓越したストーリーテラーが描く

子ども向けの配慮があっても、ミステリーであることに変わりはないので、数々の謎が提供され、探偵側と犯人の知恵比べが、乱歩風味付けで描かれます。

巻数を重ねるにつれて似たようなトリックが使われてもいますが、乱歩のストーリーテラーとしての卓越した才能で、おもしろく読むことができます。「ですます調」の語り口も、独特の味わいがあります。

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BDバッジや少年探偵手帳は、少年たちに大人気だった

シリーズの2冊目である『少年探偵団』に詳しく述べられていますが、名探偵明智小五郎の助手、小林少年の率いる「少年探偵団」(このほかに、「チンピラ別働隊」という組織も登場します)は、いろいろな用途に使えるBD(Boy Detectives)バッジを、小説中でかっこよく使っています。小林少年の考案という設定です。

雑誌に連載当時は、このバッジの引換券を付けたり、「少年探偵手帳」を懸賞商品や付録として付けたりして、読者の人気を呼んだそうです。偽物バッジまで出回ったそうで、人気のほどが想像できます。

「少年探偵手帳」の方は、BDバッジの説明や「モールス信号」についてや、「暗号の作りかた」「秘密インキの作りかた」など、少年読者の興味を引く内容です。

こういう企画も小説とタイアップして、子どもたちを楽しませてくれたことでしょう。

舞台に実在の地名が登場

また、このシリーズの舞台には東京やその近郊が多く、「麻布」とか「世田谷区」とか「渋谷」とか、実在の地名が出てきます。そういうところも、当時の少年たちに親近感を持たせ、探偵小説が身近なものとして受け入れられたのでしょう。

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約30年間で一千万部を越える越える大ベストセラー

「リアルタイムで読めなかった子どもたちにとってはどうか?」ということですが、発行部数から見てみると、やはり人気があります。

ポプラ社の1964年(昭和37年)発行のシリーズは、1992年(平成4年)発売の雑誌「サライ」によると、約30年間の総計で一千万部を超える大ベストセラーであるということです。

昭和の前半という「時代」も魅力に

「少年探偵団」シリーズの第一作『怪人二十面相』が連載されたのは、1936年(昭和11年)ですから、今から70年ほども前のことです。

小説の背景である昭和10年代、20年代、30年代という「古さ」もマイナス要因ではなく、かえってそれが同じ日本でありながら、「異世界」でもあるということも、一種の魅力となって、現在でも子どもたちに読み続けられています。

昭和40年代や50年代にポプラ社版のこのシリーズを読んだ人たちも、読み返してノスタルジーを感じることでしょう。

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「勧善懲悪」も時代を映す

書かれた時代を反映して、勧善懲悪的な文章や、「子ども」や「おとな」の描写など「型にはまりすぎているかな」と思われる文章が散見されます。

これはそういう時代だったのだ、と歴史的(?)な空気を現代の子どもたちも感じることができると思います。戸惑うようであれば、保護者やおとなの助言が多少必要かも知れません。

荒唐無稽でも、理屈抜きにおもしろい「乱歩ワールド」

しかし、勧善懲悪的でありながらも、荒唐無稽な舞台装置がふんだんに散りばめられている、不思議な「乱歩ワールド」が子どもたちにアピールしていることは間違いありません。

「こわいもの見たさ」は誰にでもあるでしょうし、次々に提示される謎の数々は、理屈抜きに「おもしろい」し、作品の冒頭から「怪談」を作り出す乱歩の筆力は、相当なものです。

その筆力が、荒唐無稽な背景さえも、子どもたちに説得力を持って読み続けられる要因のひとつと思われます。

「怪人二十面相」は「怪盗ルパン」がモデル

なお、「怪人二十面相」は、モーリス・ルブランの「怪盗ルパン」にヒントを得ており、また「少年探偵団」と「チンピラ別働隊」はコナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズの「ベーカー街特別捜査隊(“Baker Street Irregulars”)」を彷彿とさせます。

どちらかと言うと、「チンピラ別働隊」の方が、「ベーカー街特別捜査隊」に近い性格の組織です。

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ポプラ社から出版

このシリーズは、ポプラ社から出版されています。

1964年(昭和39年)に、「少年探偵団」シリーズの26冊に、一般向け(おとな向け)に書かれた作品を子ども向けに書き直した20冊を加えて、全46冊(最終巻の46冊目『三角館の恐怖』は1973年に第一刷発行)で出版されていました。

しかし、1998年(平成10年)から、装丁を一新し、解説や注釈を加えて「<新訂>少年探偵・江戸川乱歩」全26冊で出版されています。

旧版のシリーズとは一部、番号が異なっていますが、この<新訂>版の方が、原作の出版順となっているそうです。

ふたつのサイズで出版

A5変形判(19.5×15.5cm)と、文庫判(17.5×13.5cm)の二通りのサイズがあります。

このシリーズのA5変形判は、一般のA5判より縦が1.5cm短く、横が7mm長いサイズで、価格は、1冊¥1,029(本体価格¥980+税5%)です。

26冊セットは¥26,754(本体価格¥25,480+税5%)です。

このシリーズの文庫判は、一般の文庫判ではなく、新書判に近く、新書判より縦が7mm短く、横が3.2cm長いサイズで、1冊¥630(本体価格¥600+税5%)です。

26冊セットは¥16,380(本体価格¥15,600+税5%)です。

出版社の年令指定は、小学上級から

出版社の年令指定は「小学上級〜中学生」ですが、館長は小学3年のときに読みました。その年齢でも十分読みこなせたと記憶していますが、個人差もあるでしょうから、館長のおすすめは、「小4から」にしました。

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現在出版されている新訂版の全巻

新版の装丁は、すべて藤田新策氏です。

下記のリンクは、このサイト内の本の説明ページに飛びます。

書名  さし絵
1  怪人二十面相 藤田 新策
2  少年探偵団 佐竹 美保
3  妖怪博士 佐藤 道明
4  大金塊 佐竹 美保
5  青銅の魔人 佐藤 道明
6  地底の魔術王 佐藤 道明
7  透明怪人 佐竹 美保
8  怪奇四十面相 佐藤 道明
9  宇宙怪人 藤田 新策
10 鉄塔王国の恐怖 佐竹 美保
11 灰色の巨人 佐竹 美保
12 海底の魔術師 佐藤 道明
13 黄金豹 藤田 新策
14 魔法博士 佐竹 美保
15 サーカスの怪人 藤田 新策
16 魔人ゴング 佐藤 道明
17 魔法人形 佐竹 美保
18 奇面城の秘密 藤田 新策
19 夜光人間 佐藤 道明
20 塔上の奇術師 佐竹 美保
21 鉄人Q 佐藤 道明
22 仮面の恐怖王 佐竹 美保
23 電人M 佐藤 道明
24 二十面相の呪い 佐竹 美保
25 空飛ぶ二十面相 藤田 新策
26 黄金の怪獣 佐藤 道明

なお、このシリーズのポプラ社旧版(1964年発行)の46冊の書名などについては、こちらのページをご覧ください。


『少年探偵団』関連のホームページ

「少年探偵・江戸川乱歩」シリーズの出版社
      ポプラ社

作者 江戸川乱歩の出身地 名張市のホームページ
      名張市 乱歩TOP


このページの情報は、ポプラ社の目録や名張市図書館のホームページ、雑誌「サライ」の特集「江戸川乱歩と少年探偵団」などによります。


クレジット こども図書館ドットコム