A5変型判(19.5×15.5cm)
文庫判(17.5×13.5cm)
(日本)
江戸川 乱歩 著
藤田 新策 装丁
佐竹 美保 さし絵
ポプラ社
A5変型判 ¥1,029(本体価格¥980+税5%)
文庫判 ¥630(本体価格¥600+税5%)
「少年探偵」シリーズの9冊目
「少年探偵・江戸川乱歩」シリーズ9冊目。1953年(昭和28年)、雑誌「少年」(光文社刊)に連載。
『宇宙怪人』のあらすじ(冒頭部分のみ)
空飛ぶ円盤が、アメリカを初めとして世界中の空に現れました。
どこかの国の偵察飛行機か、宇宙のどこかの星から来たものかも知れないと思う人もありましたが、多くの人はなにか他のものを見間違ったのだろうと、考えていました。
しかし、空飛ぶ円盤は日本の空へもたびたび現れるようになりました。
世田谷区のはずれに住んでいる小学六年生の平野一郎君は、近所に住んでいる25,6歳の北村さんの家へひと月ほど前からよく遊びに行くようになりました。
北村さんは理科について詳しくて、顕微鏡や天体望遠鏡なども持っていたので、理科好きの平野君は天体望遠鏡で月や火星を見せてもらって楽しんでいました。
そして平野君が「空飛ぶ円盤」について尋ねると、北村さんは円盤について、その歴史やいろいろな考え方を説明してくれました。
北村さんは、宇宙のどこかの星から地球に偵察にやって来ることは考えられると言います。
それから半月ほど後の土曜日の午後、平野君はお父さんと一緒に銀座に近い映画館でマンガ映画を見ました。
その帰りに新橋駅の方へ歩いていたときに、高い空に白っぽく光る、お皿のような丸いものが飛んで行くのを見ました。
SFを取り入れた昭和28年の作品
いろいろな仕掛けで「少年探偵」シリーズを書き続けてきた乱歩が、この巻では前巻までと趣向を変えて、SFを取り入れました。
「空飛ぶ円盤」はいろいろな時期にマスコミで取り上げられていますが、この作品が書かれたのは1953年。昭和28年です。日本のテレビは、この昭和28年2月にNHK放送局が誕生したばかりで、マスコミとしては新聞とラジオが中心だった頃です。
現在から見ると「レトロ」なその時代を舞台に、この巻ではその新聞とラジオを駆使して、「空飛ぶ円盤」などという不可思議な現象を題材にその時代の人々の様子が、臨場感たっぷりに描かれています。
未読の方は50年前のSFがらみの作品と聞いて、「古くさいお話かも」と思うかも知れませんが、乱歩の卓越した筆力で綴られる作品なので、「古い」とか「つまらない」などという感想は出ません。
逆に「50年も前の作品なのに、おもしろい!」という感想が出ます。おもしろい作品は、半世紀後でもやっぱり「おもしろい」という見本のような作品です。
「空飛ぶ円盤」の正体は現在でも解明されていないし、宇宙人についても然り。ですから余計興味を持って読み進められます。
館長としては、50年も前にこの題材を「少年探偵」シリーズに組み込んだ乱歩の先見の明は、さすがと思います。
迫力ある文章の果てにSFからミステリーへ戻る
この巻は何と言っても物語の半分以上がSFです。明智探偵も、助手の小林君も、チンピラ別働隊も登場はしていますが、なかなか「空飛ぶ円盤」や「宇宙怪人」の正体は割れません。
乱歩の迫力ある文章に、「この作品はこのままSFで終わるのだろうか?」と思った頃に、本来のミステリー、推理小説に戻ります。
前巻までを読んできた読者の目には、後半のある人物の登場で「ピン」と来るものがありそうです。この辺りから本来の乱歩の趣味が出てきます。
しかし、今回は犯人の動機もいつものような金銀財宝狙いではなく、スケールの大きい、大まじめな(?)ものなので、「少年探偵」シリーズの中では、やはり異色の作品といえそうです。
『透明怪人』のオンライン書店のページ
A5変型判 (ハードカバー)
宇宙怪人(アマゾン)
少年探偵9 宇宙怪人
(セブンアンドワイ)
文庫判 (普通の文庫判より新書判に近いサイズ)
宇宙怪人(アマゾン)
少年探偵9 宇宙怪人
(セブンアンドワイ)
旧版 (ハードカバー)
左の画像は、ポプラ社の旧版の江戸川乱歩著、柳瀬茂カバー絵・さし絵の『宇宙怪人』の表紙です。『宇宙怪人』は、旧版では10冊目でした。旧版のサイズは18.5cm×13.5cmで、B6判ぐらいの大きさです。アマゾンで探しましたが、「新書」の注文ページしかありませんでした。この場合の「新書」は「文庫判」のことと思われます。
このハードカバー版が欲しい方は、他の古書店か図書館で探してみてください。
旧版 文庫判
上記のように、アマゾンの注文ページには「新書」とあります。商品についての説明ページには「1987年第一刷」とありますので、文庫判のことだと思います。(旧版のハードカバーは、1964年第一刷発行です。)
宇宙怪人―少年探偵(アマゾン)
在庫切れの場合は、状況に応じて更新されます。
このページの情報は、ポプラ社の目録や名張市図書館のホームページ、雑誌「サライ」の特集「江戸川乱歩と少年探偵団」などによります。