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「シャーロック・ホームズ全集」より
   『シャーロック・ホームズの冒険(下)』

「シャーロック・ホームズ全集」より 『シャーロック・ホームズの冒険(下)』 この画像はリンクしていません

20×14cm
(イギリス)
コナン・ドイル 著
平賀 悦子・各務(かがみ) 三郎 訳
シドニー・パジェット さし絵
偕成社
¥1,260(本体価格¥1,200+税5%)


偕成社版「シャーロック・ホームズ全集」の6冊目(短編集)

1891年(明治24年)から1892年(明治25年)にかけて、ストランドマガジンの7月号から翌年の6月号に掲載された作品のうち、この下巻には後半の6編を収録。

「ホームズもの」の最初の短編集。一話読み切り形式。ドイル33才。


『シャーロック・ホームズの冒険(下)』の収録作品は『青い紅玉』『まだらの紐』『技師の親指』『独身の貴族』『緑柱石の宝冠』『ブナ屋敷』

この下巻の収録作品は、1892年1月号掲載の『青い紅玉』(平賀悦子 訳)、2月号掲載の『まだらの紐』(平賀悦子 訳)、3月号掲載の『技師の親指』(平賀悦子 訳)。

そして4月号掲載の『独身の貴族』(各務三郎 訳)、5月号掲載の『緑柱石の宝冠』(各務三郎 訳)、6月号掲載の『ブナ屋敷』(各務三郎 訳)の6編です。

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『青い紅玉』は発端が奇抜

『青い紅玉』ですが、このタイトルに一瞬、「青い紅い(あかい)石?」と迷う人もいると思います。

原題にあるのは“Blue Carbuncle”で、“carbuncle”を辞書で引いてみると、「赤色の宝石」「ガーネット(丸く磨いたざくろ石)」とあります。ですから、「青いガーネット」としている社もあります。

(「青いガーネット」の写真はこちら。サイト「空想の宝石結晶博物館」のガーネットのページ。「青いガーネット」の写真はページの中頃にあります。)

明治の頃の雰囲気を伝えるには、「紅玉」が良いようですが、これもまた、訳者の苦労するところと思います。

タイトルが示すように、「青い紅玉」の盗難事件を扱っていますが、発端が奇抜で、興味を引きます。『赤毛連盟』や『ブナ屋敷』もそうですが、ドイルは発端に奇抜な謎を提示して、読者をぐいぐい引っ張って行きます。

また、ひとつの帽子から拡がる推理も、「あてずっぽう」としか思えないことが、ホームズに説明されると、ワトソンならずとも、だんだんその通りのように思えて来ます。

偕成社版の「作品解説」によると、クリスマス・シーズンというのは、12月24日から1月6日までを指すそうです。

日本人の感覚とは少し違いますが、12月27日発生の事件を扱ったこの物語は、「クリスマス・ストーリー」と言えるようです。

『まだらの紐』は「ホームズもの」を代表する傑作、特におすすめ

『まだらの紐』は、「ホームズもの」の作品を代表するようなイメージさえあり、ドイル自身も、自分の短編の中でも一位とした作品です。

依頼者の姉が死に際に残した言葉が、非常に謎めいているので、「ダイイング・メッセージもの」のニュアンスもありますが、やはり「密室もの」の要素が濃いと思います。

道具立てがまた、ミステリアスで素晴らしく、とにかく読んで、ドイルの世界を味わって欲しいと思います。

この物語については後世の人間が、いろいろ細かいアラを探したりもしていますが、この作品の着想は、なかなか思いつけるものではありません。

もし館長が、「ドイルの作品をひとつだけ推薦して下さい。」と言われたら、迷わず、この作品を推薦します。

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『技師の親指』は常識にとらわれない推理が光る

『技師の親指』は、水力技師が巻き込まれた事件です。犯人の家の場所についての推理がポイントです。

踏んだり蹴ったり、の目にあった技師が気の毒ですが、この作品では、「作品解説」にある通り、事実をまず、そのまま認めて、常識にとらわれずに推理するホームズの発想が光っています。

『独身の貴族』では心理的洞察もプラスして解決

『独身の貴族』は、花嫁の失踪事件です。

解決の糸口は一枚のメモをどう見るか、という点にありました。『技師の親指』同様、固定観念にとらわれないホームズのものの見方に軍配が上がります。また、人間の心理についての洞察も、ホームズは優れています。

『緑柱石の宝冠』はホームズお得意の足跡分析も

『緑柱石の宝冠』は、宝冠の盗難事件を扱っています。

「作品解説」によれば、「緑柱石」とは、エメラルドとほとんど同じ成分の宝石なのだそうです。違いは、色の濃さで、エメラルドの方が濃い緑、緑柱石が薄い緑なのだそうです。昔は、ダイヤモンドよりも高価だったということです。

(緑柱石の写真はこちら。サイト「空想の宝石結晶博物館」の緑柱石のページ。)

謎解きは、先入観に左右されない、現場の状況を元にしての、いつものホームズ流推理に拠りますが、お得意の足跡分析もあります。

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『ブナ屋敷』はストーリーテラー・ドイルの才能を堪能できる傑作

『ブナ屋敷』。これも短編の中では、有名な作品です。「女性家庭教師の髪を、なぜ短く切らせたいのか?」という奇妙な問いから、物語が始まって行きます。

舞台を美しい田園の中の屋敷に移し、謎に満ちた雇い主の要求も、この屋敷の中にカギがありました。

依頼者の話から、ホームズは事件の大半を推理してしまうので、大きく分類すると「安楽探偵もの」と言えるかもしれません。

とにかく、ドイルのストーリーテラーとしての才能を味わえる作品です。

あとがきは、ミステリーやハードボイルドの舞台について

偕成社版のあとがきには、「文学ミステリー散歩」と題して、ミステリーやハードボイルド小説の舞台になった場所についての文章が載っています。もちろん、ベーカー街についても述べられています。

おまけに、アガサ・クリスティーの『運命の裏木戸』に登場する犬、ハンニバルのモデルの犬の写真も載っています。


この巻の6編はストランド誌の編集長の懇願で書いた作品群

『「シャーロック・ホームズ全集」と作者について』や、『シャーロック・ホームズの冒険(上)』のページにも書いたように、ドイルが作家のみで生活しようと決意した直後の作品群で、1年間かけて掲載したうちの後半のものです。

「ホームズもの」は6編のみの予定でしたから、この巻に収録された後半の6編は、ストランド・マガジンの編集長に懇願されて書いた作品です。これらの掲載時には、ドイルはもう人気作家になっていました。

当初ホームズは、12編目で死ぬはずだった

また、当初ドイルはこの作品群の12編目で、ホームズを殺して「ホームズもの」を打ち切ろうとしていたそうなので、「本来はホームズはここで死ぬ予定だったのか」と、興味が湧きます。

12編目の『ブナ屋敷』の物語の中か、それとも他の物語の着想があったのかはわからないのですが、母親に説得されてホームズ殺害(?)を思い止まってくれて良かった、とファンとしては思います。

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『シャーロック・ホームズの冒険(上)』のオンライン書店のページ

偕成社 20×14cm (A5判より縦が1cm、横が8mm小さいサイズ)

 シャーロック=ホームズの冒険 下 シャーロック=ホームズ全集 (6)
                              (アマゾン)

 シャーロック・ホームズ全集6 シャーロック・ホームズの冒険 下 icon
                              (セブンアンドワイ)

『シャーロック・ホームズの冒険(上)』の偕成社以外の本やDVDのページはこちらです。


『シャーロック・ホームズの冒険(下)』関連のホームページ

「シャーロック・ホームズ全集」の出版社
      偕成社

「シャーロック・ホームズの冒険」のDVD(ジェレミー・ブレッド主演グラナダ放送のドラマ)の発売・販売元
      ハピネット・ピクチャーズ


「シャーロック・ホームズの冒険」のDVD(ジェレミー・ブレッド主演のグラナダ放送のドラマ)についての個人サイト(ネタバレあり、未読の方は注意を)

  シャーロック・ホームズの冒険研究所
  (当サイトよりあらすじを詳述、ドラマの写真を多数掲載)

  221b Baker Street
  (原作と比較し、ドラマについて文章にて解説、あらすじは特に詳述)


「シャーロック・ホームズ博物館」の日本語サイト
  シャーロック・ホームズ博物館

「シャーロック・ホームズ」シリーズの舞台であるイギリスの政府公認日本語公式サイト
  UK NOWサイト
  (イギリスに関するさまざまな情報を網羅)


なお、トップページに記載しているように、このサイト内に掲載している表紙画像は、すべて各出版社より、掲載の許可をいただいています。このページの表紙画像も、偕成社より許可をいただいています。

また、説明文で使用している辞書は、三省堂の新クラウン英和辞典第3版です。

このページの情報は、偕成社、講談社、岩波書店、新潮社、東京創元社の目録や、ハヤカワ・ミステリ文庫を含む各書籍の解説などによります。


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