26×22cm
(イギリス)
レイモンド・ブリッグズ 作
すがはら ひろくに 訳
福音館書店
¥1,260(本体価格¥1,200+税5%)
イギリスの絵本作家、レイモンド・ブリッグスの絵本。マンガ形式なので、読み聞かせには向きません。オールカラーで、左開きです。セリフはひらがなとカタカナだけです。
『さむがりやのサンタ』のあらすじ(冒頭部分のみ)
12月24日の朝、水着姿で日光浴をしている夢を見ていたサンタさんは、目覚まし時計の音で目を覚まします。夢を破られてむすっとした顔。あくびをしながらペットの黒猫を肩に乗せて台所へ。やかんを火にかけて、トナカイの世話をします。
「こうちゃがなにより」と言いつつ、沸いたお湯で紅茶を淹れて、犬と猫に朝のえさ。雪に文句を言いながらも、着々と身支度を整えて、腹ごしらえを済ませます。
しっかりとお弁当を作ってから、ソリを引き出してプレゼントを用意。トレードマークの赤い服を着て一年に一度の大仕事、子供たちにプレゼントを届けるために出発です。
従来のイメージを覆す人間くさいサンタ像
「サンタクロース」というと、「赤い服ににこにこ顔の優しい人格者のおじいさん」というイメージが浮かびます。でも、レイモンド・ブリッグズが描くサンタさんは、寒いのが苦手で雪も嫌い。ひとりでぶつぶつ毒づいています。
体型こそサンタのイメージにぴったりですが、優しい人格者のおじいさんという枠からは、かなりはずれていて、最初のページから読者は従来のイメージを覆されます。
でもどんどん読み進めてしまうのは、サンタさんの私生活(?)が、家の内部の細かい描写と共に描かれていて、それがとても人間くさくて楽しめるからです。
寒さや雪に文句を言いつつ、自分の食事より動物たちの世話が先で、ペットの犬や猫にかける言葉は優しく、行動には思いやりがあります。ですから、ぺットたちはサンタさんによくなついていて、その描写はとてもほほえましいものです。
仕事のパートナーであるトナカイにも、配達の途中の休憩時間には、寒くないようにとちょっとした心遣いをしてあげます。
ただ、年に一度の大仕事であるプレゼントの配達に出かけても、ぶつぶつ文句を言いながら、なのは変わりません。
インターネット内の多くの書評にあるように、ちょっと「毒」のあるサンタさんですが、読んでいていやな感じはしません。人間くさくて親しみを持てる「かわいい」サンタ像を、レイモンド・ブリッグズは描いています。
イギリスの家庭生活を細かく描写
そして、先に述べたように、サンタさんの家や配達先の家の内部が細かく描かれていて、私たち日本人には「イギリスの家の中はこんな風になっているのか」と、その点も楽しめます。
この本のイギリスでの初版発行が1973年(昭和48年)で、今から30年も前のことですから、現在のイギリスの家庭とは異なるのかも知れませんが、朝の紅茶やベーコンエッグなどの「絵に描いたような」イギリスの朝食の様子や、クリスマスのご馳走の用意も描かれます。
こういう日常生活の細かい描写も、家の内部の描写と共に、「イギリス人の暮らし」の一端を垣間見ることができておもしろいものです。
自立したサンタさんのすてきなプライベートの過ごし方
そして、このサンタさんに託して描かれた暮らしぶりは、とても魅力的です。
このサンタさんは文句を言いつつ仕事に出かけますが、「あらすじ」で述べたように、きちんと身支度をして食事を取り、仕事の用意をしっかりします。ひとり暮らしであっても、身なりや食事をおろそかにはしません。
そして、仕事とプライベートをしっかり分けて生活を楽しんでいます。そのために、労をいとわずせっせと作業します。それなりにおしゃれをし、ひとりの食卓でもきちんとテーブルセッティングをします。
そのほかにも、こまごまとしたサンタさんの暮らしの描写がとても楽しく、魅力的です。
マンガ形式の絵本が内容とぴったり
オールカラーでマンガ形式というのも、このサンタさんの「12月24日」を細かく描くのに、ぴったりのように思います。
「百聞は一見にしかず」で、この「ぴったり」のおもしろさを味わってもらうには、手に取って読んでもらうしかありません。最後のコマには、サンタさんからの読者への取っておきの一言がありますので、これもお楽しみに。
読み終わった後には、今までと一味違ったサンタさんのイメージと楽しい気持ちが残るでしょう。優しいところは動物たちにしか見せない、人間くさいサンタさんのクリスマス・イブの一日を理屈抜きで楽しめる絵本です。
出版社の年令指定は、「読んであげる」なら「4才から」で、「自分で読む」なら「小学低学年から」です。
このページの冒頭で述べたように、マンガ形式で地の文はありませんし、セリフはひらがなとカタカナだけですから、それらが読めれば幼児でもだいじょうぶです。ただ、マンガ形式で描写が細かいので、幼い子がそれに馴染めるかどうか、だと思います。
小学校低学年になっていれば、すんなり読めると思います。
作者のレイモンド・ブリッグズについて
作者のレイモンド・ブリッグズは1934年(昭和9年)イギリスのロンドン生まれ。幼い頃より絵を描くことが好きで、ウィンブルドン芸術学校とスレイド美術学校で絵画を学んだ後、イラストレーターになりました。
この『さむがりやのサンタ』のような子ども向けの絵本と、核戦争の恐怖を描いた『風が吹くとき』のような大人向け絵本などの、両方のタイプの作品を発表しています。
主な作品は、『さむがりやのサンタ』、『サンタのたのしいなつやすみ』、『くまさん』、アニメ化されてブリッグズの代表作となった『ゆきだるま(スノーマン)』、前述した『風が吹くとき』『ジェントルマンジム』など。
『さむがりやのサンタ』は、1973年(昭和48年)に本国イギリスで出版されました。日本での初版発行は、1974年(昭和49年)です。
『さむがりやのサンタ』は、ケイト・グリーナウェイ賞を受賞しています。
訳者のすがはらひろくにさんについて
訳者の「すがはらひろくに」さんについては調べてみましたが、残念ながらわかりませんでした。
『さむがりやのサンタ』の続編について
この『さむがりやのサンタ』には、続編『サンタのたのしいなつやすみ』があり、1975年(昭和50年)に本国イギリスで出版されています。
日本では、篠崎書林から「こばやしただお」さんの訳で発行されました。初版の発行年については、1976年(昭和51年)説と、1978年(昭和53年)説があります。館長は1980年(昭和55年)の第10刷の『サンタのたのしいなつやすみ』を持っていますが、初版年については記載がありません。この本は現在では絶版となっています。
しかし、あすなろ書房から『サンタのなつやすみ』と題名を変更して「さくまゆみこ」さんの訳で、1998年(平成10年)に新版が発行されています。
アニメ化されて、ビデオとDVD発売
なお、『さむがりやのサンタ』と続編の『サンタのたのしいなつやすみ』を併せた内容で、1991年(平成3年)にアニメ化されています。日本では、東芝エンタテインメントから発売されています。
『さむがりやのサンタ』のオンライン書店のページ
26×22cm
さむがりやのサンタ(アマゾン)
さむがりやのサンタ
(セブンアンドワイ)
続編 『サンタのなつやすみ』 26×22cm
サンタのなつやすみ(アマゾン)
サンタのなつやすみ
(セブンアンドワイ)
『さむがりやのサンタ』のアニメーション(ビデオ)
ファーザー・クリスマス【二ヵ国語版】(アマゾン)
Father Xmas / Anim (Slip)(英語)(アマゾン)
Father Xmas / Animated(英語)(アマゾン)
『さむがりやのサンタ』のアニメーション(DVD)
ファーザー・クリスマス(アマゾン)
ファーザー・クリスマス
(セブンアンドワイ)
『さむがりやのサンタ』関連のホームページ
『さむがりやのサンタ』の出版社
福音館書店
『サンタのなつやすみ』の出版社
あすなろ書房
『さむがりやのサンタ』のアニメーション情報のホームページ
トライネットエンタテインメント
(『さむがりやのサンタ』のアニメ情報のページ)
このページの情報は、福音館書店の目録・ホームページやトライネットエンタテインメント株式会社のホームページなどによります。