1929年のベルギー生まれ、欧米で有名な絵本のシリーズ
「タンタンの冒険旅行」シリーズは、ベルギー生まれの物語です。欧米ではとても有名で人気があり、2010年公開予定の、スティーブン・スピルバーグ監督による映画の制作が、2008年9月に開始されるそうです。
この物語が生まれたのは、1929年(昭和4年)のベルギー、もう70年以上前のことです。ブリュッセルの新聞社の週一度の子ども版の企画として、誕生しました。
新聞記者「エルジェ」が発表、50年近くに渡って創作
作者は、記者だったジョルジュ・レミ(1907−1983)。ペンネームが「エルジェ」です。『タンタンソビエトへ』が第一作で、まず新聞紙上で発表され、その後、絵本として出版されました。
その後、第二次世界大戦を挟んで、「タンタンの冒険旅行」シリーズは、1988年(昭和63年)の『アルファ・アート』まで、24冊出版されています。
但し、24冊目の遺作となった『アルファ・アート』は完成原稿ではありませんでしたので、完成原稿としては1976年(昭和51年)の『タンタンとピカロたち』までの23冊です。『アルファ・アート』は、ラフスケッチのみだったそうです。
主人公は愛犬と共に世界中を駆け回る少年ルポライター
主人公のタンタンは、少年ルポライターで、愛犬の白犬スノーウィと共にヨーロッパはおろか、北米、南米、アフリカ、インド、中国など駆け回り、ついに月まで行きます。その当時の政治や社会状況を反映し、生きた歴史教科書の観があります。
小学生からおとなまで楽しめるハードボイルドなストーリー
しかし、古くさいところや、かた苦しいところはまったくなく「7才から77才まで」のキャッチフレーズ通り、小学生から楽しめる絵本です。
表紙を見ればわかるように、まるっこい顔に玉ネギ(?)のようなヘアスタイルのタンタンと、とぼけた顔のスノーウィ。しかし、この絵柄からは想像もつかないハードボイルドで、スリリングなストーリーが展開されます。
やはり新聞記者だったエルジェの面目躍如といったところでしょう。
個性的な脇役たち
タンタンとスノーウィの他、個性的な脇役たちが物語を盛り上げます。まず、インターポール(国際警察)の刑事デュポンとデュボン。作品中に「デュポンブラザーズ」という言葉があり、顔や姿がそっくりなので双子のように思えますが、タンタンの公式サイトによれば兄弟ではないそうです。
そして「バーロー岬」が口癖のハドック船長、見かけはとっぽいが、天才科学者のビーカー教授、著名なオペラ歌手のカスタフィオーレ夫人など。そしてこれまた、個性的な悪役たちの数々が登場します。
主人公タンタンは実は狂言回し
タンタンは清廉潔白、いつも正しい「正義の味方」なのですが、この個性的な人物たちの中で、狂言回し的存在でもあります。
事実、タンタンタイムス(福音館書店の初版本の付録)によると、フランスのタンタンシリーズファンの多くは、ハドック船長ファンなのだそうです。「人間的」という理由で。
欧米ではアニメ、映画、グッズが作られ、惑星「エルジェ」も
どれだけ魅力的な物語なのかは、読んでみればすぐわかることですが、欧米での人気のバロメーターとしては、多くアニメや映画やレコード、グッズ(絵はがき、おもちゃなど)が作られていることがあります。
1982年(昭和57年)にはベルギー航空宇宙局が、エルジェの75才のバースデープレゼントとして、発見された惑星に「エルジェ」と命名しました。
著名映画監督たちにも影響が
また、映画人では、冒頭で紹介したスピルバーグ監督の他にジョージ・ルーカス監督が、「『インディ・ジョーンズ』は「タンタンの冒険」をコンセプトにしている」と語っているそうです。
『髪結いの亭主』などで知られているパトリス・ルコント監督は、エルジェの遺族から「好きな巻の映画化を」と持ちかけられたものの、実写の映画では原作を超えられないと考え、断念したそうです。
日本のマンガを読みなれた目には、最初違和感が
このように、人気のあるシリーズですが、日本ではまだ「知る人ぞ、知る」という程度の知名度と思われます。これは日本が世界に冠たるマンガ大国であることが原因かも知れません。
このシリーズはマンガ形式の絵本ですが、日本のマンガを読み慣れた目には、始めのうち、このシリーズの左開きのコマ割りなどが少々読みにくいと思われます。
日本のマンガは右開きですから、慣れないうちは、左開きのマンガというのは読みにくい上に、このシリーズのコマは小さめで、本はそれほど厚くない割りに、「長いお話だ」と感じられるかも知れません。
アップのコマが少なく小津監督の映画に通じる雰囲気が
また、ストーリー自体はかなり展開が速くおもしろいのですが、牧歌的な絵柄とストーリーがマッチしていないような違和感も初めのうちは感じられます。
アップのコマがほとんどないため、日本映画にたとえて言うと、小津安二郎監督の映画と一脈通じるような雰囲気。
ヨーロッパ風の味わいに慣れるとかえって新鮮に
しかし、慣れてくると「これがヨーロッパ風か」と新鮮に感じられます。本のあとがきには「欧風エスプリ」とあります。ぜひタンタンの世界のおもしろさを味わっていただきたいものです。世界60ヶ国の言葉で出版されているそうです。
初版本は白黒
また、当初の初版本は白黒の絵だったそうで、現在出版されている絵本は、フルカラーの規格本に合うように、改作されたものです。(1942年に、出版社がそれ以前に出版された本の改作を依頼。)
福音館書店より出版
日本では現在、福音館書店より21冊、出版されています。サイズは31×23cmで、1冊\1,680(本体価格¥1,680+税5%)です。ハードカバーで、左開きのオールカラー、マンガ形式の絵本です。
マンガ形式のため、吹き出しにセリフが入る形ですが、そのセリフが普通の活字ではなく、手書きの文字になっている巻が多いので、その場合は各巻のページに記載しています。
この柔らかな印象の文字も、魅力のひとつと思います。活字のセリフは2冊だけです。
年令指定は小学3、4年から
欧米では「7才から77才まで」というキャッチフレーズですが、日本版はかなり漢字がありますので、対象年齢はやはり出版社の指定にあるように、「小学中級から」が妥当なところと思います。
一部の難しいと思われる漢字にはルビが振られています。
福音館書店の出版順の本のタイトル
以下は、福音館書店の書名に記載されている番号の順です。福音館書店からの出版順になります。(初版発行年は、福音館書店からのものです。)
但し、この順番は、原作の発表順ではありませんので、この順に読むと、登場人物が前後している場合があります。しかし、2冊ずつの続きの巻(3−4、6−7、12−13)を除いては、1冊ずつ独立して読める作りです。
また、作者の逝去のため、ラフ・スケッチだけだった『アルファ・アート』も、2007年(平成19年)12月に出版されました。
以下のリンクは、このサイト内の本の説明ページへ飛びます。
| 書名 | 初版発行年 |
| 1 黒い島のひみつ | 1983年 4月 |
| 2 ふしぎな流れ星 | 1983年 4月 |
| 3 なぞのユニコーン号 | 1983年10月 |
| 4 レッド・ラッカムの宝 (『なぞのユニコーン号』の続き) | 1983年10月 |
| 5 タンタンチベットをゆく | 1983年11月 |
| 6 ななつの水晶球 | 1985年10月 |
| 7 太陽の神殿 (『ななつの水晶球』の続き) | 1983年10月 |
| 8 ファラオの葉巻 | 1987年 3月 |
| 9 カスタフィオーレ夫人の宝石 | 1988年 4月 |
| 10 燃える水の国 | 1989年12月 |
| 11 紅海のサメ | 1989年12月 |
| 12 めざすは月 | 1991年 4月 |
| 13 月世界探検 (『めざすは月』の続き) | 1991年 7月 |
| 14 青い蓮 | 1993年 5月 |
| 15 ビーカー教授事件 | 1995年 3月 |
| 16 かけた耳 | 1998年 9月 |
| 17 オトカル王の杖 | 1999年11月 |
| 18 金のはさみのカニ | 2003年 9月 |
| 19 シドニー行き714便 | 2004年 5月 |
| 20 タンタンアメリカへ | 2004年12月 |
| 21 タンタン ソビエトへ | 2005年 9月 |
| 22 タンタンのコンゴ探検 | 2007年 1月 |
| 23 タンタンとピカロたち | 2007年 12月 |
| 24 タンタンとアルファアート | 2007年 12月 |
原作の発表順の本のタイトル
以下は、原作の発表順に並べ替えた書名の順です。これから初めてタンタンシリーズをお読みになる方は、この順に読むと、登場人物についての戸惑いがないと思います。
どれか1作、という方には、『なぞのユニコーン号』と『レッド・ラッカムの宝』(2冊でひとつのお話)をお勧めします。タンタンワールドのおもしろさが満喫できると思います。
(下の画像は、セブンアンドワイのリンクです。)
以下のリンクは、このサイト内の本の説明ページへ飛びます。
| 書名 | 原作発表年 | |
| 1 | 21 タンタンソビエトへ | 1929年 |
| 2 | 22 タンタンのコンゴ探検 | 1931年 |
| 3 | 20 タンタンアメリカへ | 1932年 |
| 4 | 8 ファラオの葉巻 | 1934年 |
| 5 | 14 青い蓮 | 1936年 |
| 6 | 16 かけた耳 | 1937年 |
| 7 | 1 黒い島のひみつ | 1938年 |
| 8 | 17 オトカル王の杖 | 1939年 |
| 9 | 18 金のはさみのカニ | 1941年 |
| 10 | 2 ふしぎな流れ星 | 1942年 |
| 11 | 3 なぞのユニコーン号 | 1943年 |
| 12 | 4 レッド・ラッカムの宝 (『なぞのユニコーン号』の続き) | 1944年 |
| 13 | 6 ななつの水晶球 | 1948年 |
| 14 | 7 太陽の神殿 (『ななつの水晶球』の続き) | 1949年 |
| 15 | 10 燃える水の国 | 1950年 |
| 16 | 12 めざすは月 | 1953年 |
| 17 | 13 月世界探検 (『めざすは月』の続き) | 1954年 |
| 18 | 15 ビーカー教授事件 | 1956年 |
| 19 | 11 紅海のサメ | 1958年 |
| 20 | 5 タンタンチベットを行く | 1960年 |
| 21 | 9 カスタフィオーレ夫人の宝石 | 1963年 |
| 22 | 19 シドニー行き714便 | 1968年 |
| 23 | 23 タンタンとピカロたち | 1976年 |
| 24 | 24 タンタンとアルファアート | 未完成原稿 |
「タンタンの冒険旅行」シリーズには関連本、グッズ、DVDなどがあります。こちらのページに各オンライン書店へのリンクがあります。
「タンタンの冒険旅行」シリーズ関連のホームページ
「タンタンの冒険旅行」シリーズの出版社
福音館書店
タンタンの公式ホームページ
TINTIN JAPAN
作者 エルジェの母国 ベルギーに関するホームページ
ベルギー観光局
このページの情報は、福音館書店と講談社の目録、タンタンタイムス、タンタンの公式サイト、アスミックエンターテイメント株式会社のDVD情報サイトなどによるものです。


